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白い肌に、少し乱れた後ろ毛……思わず見とれた「幻の美人画」が放つ“日本文化の気品”

アートな土曜日

2019/11/02
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 美人画三部作のほかにも、希代の話し手として今に至るまで尊敬を集める三遊亭円朝をモデルにとり、その性格を余さず表した《三遊亭円朝像》、季節ごとに変遷する人の営みを興趣深く見せる《明治風俗十二ヶ月》など、鏑木清方の持ち味を十全に発揮した作品群が会場には並ぶ。

鏑木清方 《三遊亭円朝像》 重要文化財 1930(昭和5)年 絹本彩色・軸装 138.5×76.0cm 東京国立近代美術館 ⓒNemoto Akio
 

 

鏑木清方《明治風俗十二ヶ月》1935年

 改めて室内を眺め渡せば、それぞれの絵が放散しているのは気品だ。鍛え抜かれ選び抜かれた線と色の効果で、どの絵からも揺るぎない強さが漂う。それが絵の周囲に凛とした空気を生み出し、全体を品のいい空間へと仕上げているのである。日本画の、ひいては日本文化の香気を、胸いっぱい吸い込みに行こう。

白い肌に、少し乱れた後ろ毛……思わず見とれた「幻の美人画」が放つ“日本文化の気品”

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