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urbansea
2017/02/25

春にしてKを想う 「息子」と「K」の今週の「文春」

週刊文春3月2日号 最新レビュー

「暦の上ではディセンバー」ならぬ、号数の上ではもう春の週刊文春3月2日号、金正男暗殺が特集のトップである。この事件で再注目されている『父・金正日と私 金正男独占告白』(文春文庫)の著者・五味洋治の手記などのほか、朝鮮総連の関係者が「事件のキーマンはK氏だ」と語る人物について取材する。

 なんでも赤坂のクラブや銀座のおでん屋、和彫りの入れ墨などもK氏の手引きによるもので、最近ではマレーシアやシンガポールなどへの旅行の際には常に同行する人物だという。そのK氏がなぜか今回のマレーシア旅行には付いていなかったと関係者は証言している。

「週刊文春」2017年3月2日号より

ショーンKから1年が経とうとしている

 Kといえば、今週の坪内祐三「文庫本を狙え!」は三木卓『K』だったりするのだが、その他、漱石「こころ」の自殺した友人Kや勝新のドラマ「警視-K」、逆噴射のK機長などいろいろ思いつく。しかし最近では、なんと言ってもショーンKである。

 週刊文春がその男の虚飾をはぎ落としたのはおよそ1年前、ニュース番組のキャスター起用が決まった直後の3月のことであった(「ショーンKの嘘」2016年3月24日号) 。ニューヨーク生まれ、ハーバードでMBA取得など、日本人が羨望するような経歴を誇るショーン・マクアードル川上は、実際のところは熊本育ちの日本人で、高校の同級生は文春取材に「えっ、顔が違う!」と仰天する。

 そういえば、精巧で知られた偽札「スーパーK」ってのもある。ショーンKの虚飾もまた、ニュースキャスターに抜擢されるほどの精巧さであった。文春砲を浴びるまでは……。

「それはダメだと思います」 ©佐藤亘/文藝春秋

息子がらみが多い今週の「週刊文春」

 殺された金正男は、金正日の長男である。ディズニーランドが好きだったり、赤坂を呑み歩いたりと「友人思いの自由人」(前述の五味洋治手記より)であった。そうした人間味から日本では大衆ウケしていた。不人気のトランプ政権の “ファーストドウター”イヴァンカと同様の役割を果たしていたと言える。長男というと一般に堅いイメージであるが、彼は奔放であった。それゆえに日本では好かれ、それゆえにマレーシアで死んだ。

 今週の週刊文春をめくっていくと、「息子」がらみの記事があちこちにある。「ちばあきお長男が語る『キャプテン』」「育児本ヒット 森昌子三男がライブで号泣」のほか、息子の逮捕で謹慎していた女優・高畑淳子のテレビ復帰、「全員が開業医の息子」による連続集団強姦事件といった具合。

1966年の息子たち

 そんな“息子”記事の本丸は、石原慎太郎の四男をめぐる「石原慎太郎都政 謎の四男延啓氏に『親バカ血税』全調査」。石原の都知事時代、四男の原画作品を公費300万円で購入のほか、四男が諮問委員を務める「トーキョーワンダーサイト」には様々な名目で「親バカ血税」がそそがれるなどの、公私混同の疑いを記事は指摘している。

 この四男は、江角マキコに「バカ息子」と自宅の壁に落書きされた長嶋一茂とおなじく、1966年の生まれだ。そういえば評論家・中川右介は「月9」(幻冬舎新書)にて、月9の主演女優には鈴木保奈美や斉藤由貴、江角マキコなど1966年生まれが多いと指摘している。そうか、女の子に生まれていたら、四男も一茂も月9女優になれていたかもしれない。しかし待て。そうなると一茂主演の「ミスター・ルーキー」や「ポストマン」は見られなかったではないか。私はいっこうに構わないけれども。

「ミスター・ルーキー」の主人公に扮装した長嶋一茂 ©時事通信社

目指せ!「同級生交歓」

 にしても事件や疑惑の「息子」たちにくらべれば、ショーンKはなかなか立派じゃないか。成りあがるために英語を学び、男前に顔を整え、テレビで語れるだけの政治・経済の知識を頭にいれた。立身出世のひとである。

 これほどの努力家なのだから、この先、虚飾の汚名をすすぎ、功成り名遂げたショーンKが、隠してきた熊本時代を共に過ごした同級生たちと月刊文藝春秋の「同級生交歓」に登場する日が来るかもしれない。がんばれ、ショーンK。

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