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大場 真代
2017/04/15

「大人の発達障害」を疑ったら試したい20のチェックリスト

社会構造の変化が発達障害を生んでいる

 まずは何も考えず、下記のチェックリストで【A】と【B】のどちらに多く当てはまるか、みなさんチェックしてみてください。

【A】
・何かをするときは一人でやるほうがいい
・同じやり方を何度も繰り返し用いることが好き
・何かを想像するとき、イメージを簡単に思い浮かべることができる
・自分では丁寧に話したつもりでも、話し方が失礼だと周囲の人に言われることがある
・他のことが全く気にならなくなるくらい、何かに没頭してしまうことがある
・他の人が気がつかないような小さな物音に気がつくことがある
・車のナンバーや時刻表の数字など、特に意味のない情報に注目することがある
・相手の顔を見てもその人が考えていることや感じていることがわからない
・あることを、他の人がどのように感じるかを想像するのが苦手
・他の人の考え(意図)を理解することは苦手

【B】
・物事を行うにあたって、難所は乗り越えたのに詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことがよくある
・計画性を要する作業を行う際に、作業を順序立てるのが困難だったことがよくある
・約束や、しなければならない用事を忘れたことがよくある
・じっくり考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることがよくある
・長時間座っていなければならないときに、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることがよくある
・まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることがよくある
・つまらない、あるいは難しい仕事をする際に、不注意な間違いをすることがよくある
・直接話しかけられているにもかかわらず、話に注意を払うことが困難なことがよくある
・家や職場に物を置き忘れたり、物をどこに置いたかわからなくなって探すのに苦労したことがよくある
・外からの刺激や雑音で気が散ってしまうことがよくある

 いかがでしたでしょうか。【A】が多かった人もいれば【B】が多かった人、どちらも同じ数だったという人もいるかもしれません。これらのテストは【A】がアスペルガー症候群のチェックリスト、【B】がADHD(注意欠如多動性障害)のチェックリストです。

発達障害は、脳機能の先天的な障害

©iStock.com

 いま、大人になってから発達障害とわかる人が増えています。

 発達障害とは、脳機能の先天的な障害のこと。生まれながらに脳の働きにかたよりがあり、それが様々な特性となって現れるもののことです。

 多くの場合は幼少期に診断されますが、最近では、大人になってから、うつ症状や不安症状などの二次的な障害が起きて初めて発達障害とわかるケースが増えてきています。

 これまで1万人以上を診てきた、発達障害のスペシャリストであるどんぐり発達クリニックの宮尾益知先生に、発達障害について話を伺いました。

誰でもどちらかの特性を持っている

「最初にやっていただいたチェックリストは、半分以上あてはまると、【A】の場合はアスペルガー症候群、【B】の場合はADHDの疑いがあると言われます。しかし、これまで発達障害とは関係ないと思っていた人でも、意外と多くあてはまって驚いたかもしれません。

 発達障害とは、風邪やインフルエンザのように0か100ではなく、グレーゾーンが大きいもので、誰にでも気分の波があるように、生活環境や人間関係などで症状が強く出る場合もあれば、不自由がないまま過ごせる場合もあります。

『あの人は几帳面でいつも趣味に没頭している』とか『あの人は忘れっぽい人だけど、人当たりはいい』などというように、人には個性があります。発達障害とはその個性の波が強すぎるために、周りに迷惑をかけたり、自分ができないことが浮き彫りとなって生きづらさを感じていたり、うまく世の中が渡れずに困っている状態のことをいいます。

 人は誰でもどちらかの特性を持っているもの。アスペルガー症候群、ADHDのチェックリストで数が多く当てはまったからといって、現在までの生活で不自由を感じていなければ全く問題はありません」

うつ病で見過ごされているケースも

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「しかしながら、自分では頑張っているつもりなのにトラブルやミスが続き、周囲に迷惑をかけてしまっている、いつも同じことで怒られてしまうなどで、うつ症状や不安症状などが出るようになることもあります。

 うつ病だと言われたまま治療を続けていたりと、見過ごされている場合も少なくありません。

 実際に、患者さんの中でもうつ病の治療をしていたけれどもなかなかよくならないといって様々な精神科を受診し、何年も経ってから私のところへ来て初めて発達障害だとわかったケースもあります。精神科医でも発達障害の診断はとても難しいものなのです」

社会の風当たりが強くなっている

「現在は限られた時間の中で多くの情報をいかに処理できるかが重要となっていて、個人の違いにいちいち対応できるだけの余裕が社会全体でなくなっており、発達障害の人たちに対する風当たりも強くなってきています。

 第一次産業が中心だった頃は、病気の認識もまだなかったということもありますが、発達障害は『個性』と捉えられていて、一人ひとりに合わせる余裕がありました。

 子どもの頃の話でいえば、近所の柿を盗んだり、隣の子を授業中に蹴飛ばしたりする子は単なる『やんちゃ』な子。近所の怖いおじさんから大目玉を食らっても、それで許されるような環境がありました。しかし今はどうでしょうか。どちらも裁判沙汰、警察を呼ばれてしまうことになります。

 社会の構造が変わってきたために、発達障害の人の強い個性やミスなどが目立つようになり、発達障害という言葉がより注目されるようになってきたのだと考えています。

 その中でもアスペルガー症候群とADHDは、大人になってから発見されるケースが少なくない発達障害ですが、特に診断は受けていないけれども自分で『発達障害かも』と感じている場合や、診断は受けていない上に自分自身でも全く自覚がない場合が『大人の発達障害』という言葉で問題となっています」

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