「心配性」とよばれる性格の人がいる。普通なら気にしないようなことを気にして、不安がる……。そんな人はどの職場にもいるし、ガサツな人の集まりの中にあっては、その存在が貴重になることもある。

 しかし、物事には限度がある。心配が増幅して当人の手に負えなくなると、日常生活に支障をきたすことになる。

 そんな人、あなたの周りにもいませんか?

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行き過ぎた「神経質」な性格

 都内に住むサラリーマンのTさん(32=独身)。几帳面な性格で、会社の彼の机の上は見事に整理整頓されている。

 職場だけではない。彼の自宅マンションを訪ねたことのある同僚によると、部屋の中はモデルルームのように整然としていたという。取っ手の向きを分度器で計ったように揃えて等間隔で並べられたコーヒーカップの類は、「偉大なる指導者」に敬礼しながら歩く某国の軍事パレードを彷彿とさせた、とも証言する。

「クローゼットの中の針金ハンガーがきれいに色分けされていて、青は仕事用、ピンクは私服、黒はその他――と、色ごとに任務を与えられているんです。以前付き合っていた彼女が、青のハンガーに自分のブラウス(非仕事用)を吊るしたことがきっかけで喧嘩になって、結局別れたそうです」(その同僚)

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 人に迷惑をかけなければ何にどうこだわろうと勝手だ。しかし、Tさんの神経質な性格は、別の方向に向かい始める。「心配癖」だ。

 会社に出勤してから、「鍵は閉めてきたかな?」「コンロの火を消し忘れてないか?」と心配になることは誰にでもあるだろう。しかし多くは一過性の心配で、昼過ぎには忘れてしまうものだ。

海外旅行を中止したことも……

 ところが彼は違う。不安に支配されるがまま終日にわたって悩み続けるのだ。悩み出したら仕事どころではなくなる。用事を作って外出し、内緒で自宅に戻って確認したことも何度かある。でも、そうまでして確認しても、本当に鍵が開いていたことはない。

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 今年の正月休み、彼は学生時代の友人と数人で台湾旅行に出かけた。日暮里から京成スカイライナーに乗ったところで、「電気ストーブを消しただろうか……」という不安が首をもたげた。成田に着くころには、身をよじるまでに不安は増幅。結局彼は旅行を取りやめ、自宅に戻った。電気ストーブの火は消えていた。