「誰かと同じ」であることを、カスタムカーオーナーたちは全身全霊で拒絶する。そのコダワリの原点には、一体どんな秘密があるのか?

 今回は、現場用だったハイエースをカスタムする「アリーサ」さんをご紹介。

スポーツカーへの熱中や、仕事への没頭を経て、現場仕事やアウトドア趣味に活かせるハイエースのカスタムに目覚めた

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イベントの場が子どもにとっての「社会」になる

 車に興味を持つようになったのは、18歳の頃、近所のオートバックスでアルバイトをはじめたのがきっかけですね。周りにスポーツカー乗りが多い環境でしたから、自然と自分も乗りたいと思うようになって。

 20代の頃はZやスカイラインに乗っていたんですけど……。介護士として就職してから、仕事が忙しくてなかなか車に意識を向けられなくなり、しばらく趣味からは離れていたんです。

和柄をコンセプトにしたハイエース。夫婦のアイデアが詰まった一台

 それで、少し前に介護士を辞め、大工をしている夫の事務方に回るようになり、少し時間に余裕が出てきたといいますか。とくに現場用にこのハイエースを買ってから、車への熱が再燃した感じですね。

リアには朱色の不死鳥が舞い上がるペイントが施される

 ハイエースは趣味のキャンプや釣りにも使っているのですが、アウトドアを通じてハイエースを弄っている人たちとも知り合うようになって。色んな弄り方を見るうちに、「もっと自分たちの色を出したい」と思うようになったんですよね。

 昔から着物や和柄のデザインが好きだったこともあり、「花魁の世界観をテーマにしよう」と思いついて。そこからは私が主にアイデアを出して、夫が技術面でアドバイスをくれるという形で少しずつ形にしていきました。たとえば差し色の入れ方やヘッドライトの加工なんかは、夫の意見を反映した部分ですね。

ホワイトのシートやコンソールに、ドアパネルの牡丹が映える

 やっぱりこの車はファミリーカーでもありますから、片方の意見だけではなくて、両方の意見を取り入れつつ、どちらも愛着をもてるように意識しています。

光の角度によって複雑な表情を見せるダッシュボード

 今ではハイエースを色んなイベントに出すようになり、どんどん知り合いも増えて、仲間との交流が毎回楽しみになっているんですよ。いつも息子を連れて参加していますが、ハイエース乗りは家族連れの方が多いので、自然と子ども同士の交流も生まれるんですよね。

 私としては、こういう場が息子にとっての社会経験になればと思っています。もちろん、息子が車そのものに興味を持ってくれたら嬉しいですよ。でも一番大事なのは、色んなことに触れたうえで、自分が本当に夢中になれるものを見つけることだと思うんです。

車弄りが趣味だったパートナーと「家族で楽しめるカスタムカー」を作りあげる

 イベントで出かけた地域に興味を持ったり、普段とは違う友達と新しい遊びを覚えたり。ハイエースを通じた経験が、息子のなかで何かの「きっかけ」になってくれたらいいですね。

次の記事に続く 《かけた金額は1億円近く》「もう車の病気だと思います」人生で弄った愛車は46台…6児のパパが語った“車イジリ”にとらわれる理由

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