公立の小学校、中学校、高校を経て、一浪して東京大学理科II類に入学。現在は、9歳、7歳、5歳の男の子たちを育てている中村希さん。長男が生後4ヶ月だった頃に始めた学習塾「みらい塾エイトステップス」の塾長としての顔も持ちます。

 ここでは、そんな中村さんが「子育て哲学」について詳しく紹介した『田舎の公立小中高から東大に入った私の勉強法』(平凡社新書)より一部を抜粋。東大卒ママがわが子にYouTubeとゲームを“卒業”させた方法とは……。(全3回の1回目/続きを読む

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「こんなに一瞬で動画が見たくなるってヤバくない? 取りつかれてしまっている!」

 わが家は基本的には「YouTubeやゲームはやらない」というスタンスです。ゲームはスーパーファミコンのみ家にあり、しかも私もしくは夫が家にいるときしかコードをつなげないので、息子たちはほとんどやりません。仮に息子たちがコードをつなげられたとしても、私たちが小さい頃に流行った「ドンキーコング」や「星のカービィ」しかできないので、すぐに飽きて長時間ゲームしっぱなし、ということはありません。

 YouTubeは2020年春、新型コロナウイルス感染症が本格的に蔓延する前、長男が年中さんのときに「卒業」しました。なぜ「卒業」したのかというと、長男の集中力の短さに衝撃を受けたからです。

 ある日、長男が切り絵をやりたい、というので紙とハサミを渡してあげました。そのとき、私は長男の近くでパソコンを使って資料づくりをしていました。2分くらい経った頃、長男が突然、「どうが(動画)! どうががみたい! どうが!」と言い始めたのです。その頃はよく、長男に動画を見て静かにしてもらっていたので「あぁ、やっぱりこうなっちゃうか……」と長男の心境は理解しつつも、「でも、こんなに一瞬で動画が見たくなるってヤバくない? 動画に取りつかれてしまっている!」と長男の集中力の短さにショックを受けてしまいました。

タブレットを触る子ども(イメージ)

 この一件があり、長男に動画を見せるのはやめようと決めたのです。ただ、こちらが一方的にスマホを取り上げたら、長男は絶対に納得しないことは目に見えていました。そこで私は長男とじっくり話し合うことにしました。「なぜママはYouTubeをやめてほしいのか」を説明したのです。それでもやはり、好きなものを取り上げられることは長男からしたら悲しいことでしかないので、YouTubeの代わりに長男がやりたいことを始める、という約束をしました。

 ちょうどそのとき長男が「やりたい」と興味を示していたのが、ベネッセコーポレーションの「こどもちゃれんじ」。さっそく私は申し込みをしました(ちなみに、私は通信講座なるものは一切やったことがなかったので、教材が届いたときは新鮮な気分でした)。「こどもちゃれんじ」を始めてから、家では動画が見られるすべての機器を使えないようにして動画とは「おさらば」しました。この「こどもちゃれんじ」は今も続けていて、単純な計算問題などはあまり興味を持っていないようですが、理科や社会などの知識については興味津々で、自分なりに楽しんでいるようです。