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【中日】宿敵に親愛を込めてエールを! くたばれジャイアンツ!

文春野球コラム ペナントレース2017

2017/03/31
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原点回帰に向け、この上ない開幕相手

 誇りを、そして強い竜を取り戻すための2017年シーズンがいよいよ開幕する。ファンの思いは皆同じだ。そう、開幕からロケットスタートを見せ、セ・リーグに強竜旋風を再び巻き起こすこと、ただそれだけである。

“原点回帰”を今年のテーマに掲げ、沖縄キャンプからオープン戦と準備を重ね、力を蓄えてきたドラゴンズ。ここ数年続いた不甲斐ない姿を払拭し、新しく生まれ変わった姿を見せつけるには、この上ない開幕カードだ。敵地に乗り込んでの宿敵・読売ジャイアンツである。

名勝負はほとんどジャイアンツ戦だった

 他のチームに負けてもジャイアンツにだけは負けたくない。これが古くから続く正統派ドラゴンズファンのモットー。また私がプロ野球を観始めてから40年以上は経つが、思い出に残る名勝負のほとんどはジャイアンツ戦ばかり。

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 1974年、ジャイアンツの10連覇を阻止し、20年ぶり2度目のリーグ優勝を果たした時からはじまり、1982年、天王山のナゴヤ対決、江川攻略に成功し、大逆転勝利を収めた一戦。1987年近藤真一初登板初先発ノーヒッター。野口茂樹も、川上憲伸も敵地で魅せたノーヒッターは全てジャイアンツだった。試合は敗れてしまったものの国民的行事と呼ばれた1994年の“10.8”ナゴヤ決戦は、今でも多くの野球ファンの記憶に残っているはずだ。

 いつも圧倒的に強かったジャイアンツに挑むからこそ全ての戦いにおいて夢中になれた。王、長嶋のON砲に何度打ちのめされただろうか。難攻不落であった江川の不敵な面構えに何度テレビをぶち壊したいと思ったことか。そして地球の果てまで飛ばす勢いだったゴジラ松井のバッティングを観る度にドラフト運のなさを悔やみ……主砲・落合がFA移籍した時には人間不信に陥った。

 時にジェラシーを、時に煮え湯を飲まされる度、Youtubeで2006年10月10日、タイロン・ウッズの満塁本塁打による落合×タイロンの熱い抱擁を見てやり過ごす。あ、くそ! 原稿書いていたら勝手に宮下がクロマティに右ストレート喰らってる動画になってるじゃねぇか。

タイロン・ウッズ ©文藝春秋

 ところが、だ。ここ数年、あの呆れるほど傲慢で、プロ野球界を我が物顔としてきたジャイアンツが、まったく別のチームになっている。一体どうしたってんだい……わかってる。俺はこれから自分のところを完全に棚に上げて言うぞ。ものすごくわかってて言うぞ。

 よしのぶー! 六大学時代からうちの憲伸とあの熱い戦いをしてきた太陽みたいなあなた、監督になってどうしちまったんだ。暗い監督なら、うちの守道で十分だ。でも違うだろ。

 選手だって、オーラを感じさせる選手が見当たらず、可もなく不可もない、相手からしてみれば全く恐怖心を抱かないおとなしいチームになってるじゃないか。なあ平田、お前からも言ってやれ! 岡田、ニヤニヤしてんじゃないよ。

 これだけは言いたい。物心ついた時からプロ野球を観てきて思うこと。それはいつの世もジャイアンツは強くないといけない。そしてそんな強敵を、我々がコテンパンのグチャグチャにやっつける完全勝利に酔いしれたいのだ。

「やるかやられるか」権藤さんも言っていたじゃないか

 ドラゴンズにとって、出直しとなるこの2017年が、ジャイアンツとの開幕3連戦ではじまることはこの上ない幸いである。杉下茂は川上哲治を抑えるためにフォークを磨き、星野仙一は長嶋茂雄に食らいつき、宇野勝は山本功児のフライをデコに当て、全国区のスターへと羽ばたいた。

 いくら時代が違う、価値観が古いと言われようが、ジャイアンツ戦は、ファンにとっては野球の神様から頂いた最高のプレゼントであり、反面最大なる試練と捉えたい。この対戦に関してはkill or killed。圧倒的なやるかやられるか。やられたらやり返せ。ダメでもやり返せ。……と権藤博さんが森新監督との対談でも言っていたじゃないか。

 最後まで諦めない。そんな姿勢が過去の逆転につく逆転での名勝負を呼んできた。巨人ー中日といえば、ついこの前まで、胃がキリキリするようなスリリングな勝負を、両ドームで繰り広げていたカードじゃないか。それをもう一度、取り返すのだ。圧倒的に強く、そして憎らしいジャイアンツを倒すのがドラゴンズファンの総意。ナゴヤドームで空席が目立つジャイアンツ戦なんてもう見たくない。

 最後の最後まで優勝争いをしようじゃないか! いつまでも強くあれジャイアンツ! そしてこのコラムペナントレースのオープン戦で、すでに圧倒的な強さを見せつけている“巨人”の“死亡遊戯”! いいじゃないか。おまえも含め、ナゴヤから親愛を込めてエールを送ろう!

 くたばれジャイアンツ!

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。

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