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内定はゴールじゃない。採用面接でやっておくべきこと

DeNAより難関のベンチャーを受けてみた #後編

2017/04/06
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 採用面接当日、エージェントや友人のアドバイスをもとに、自己紹介、志望動機、3つのウリや退職理由などを脳内に携えて、私は転職活動初の面接に臨みました。

 エージェントによれば、当時、最も就職が難しいと言われていたDeNAよりも「求める基準が高い」というベンチャー企業のA社。それが「正社員採用」で、提示額は700万~1200万円というのだから、願ってもない話です。

テーマパークのようなオフィス

 訪れたオフィスは、私がこれまで見てきた「職場」とまるで違いました。

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 清潔感があふれる白を基調としながらも、一部に緑や青を取り入れたカラフルな色あい。通された待合室のソファに腰掛けると、足元はレンガ調のカフェのような壁紙。オフィスのところどころにホンモノっぽい観葉植物が植えられていて、とにかくおしゃれ。とにかく「イマドキ」。

 私が勤めていた新聞社のように、雑然と紙や本が積み上げられた小汚いデスクも見当たりません。連日、某県庁に詰め、節電のため電気の消された暗い(そして古い)廊下を歩く日々を送っていた私からすると、もはやテーマパークです。

いよいよ採用面接本番に

スーツが入らなくなり、ジャケット姿で面接へ

 案内された個室でしばし待機していると、30~40代の男性が2人入室してきました。2人とも柔和な感じです。ちょっと安心しました。

 イマドキのベンチャー企業ということで、剃刀のようにキレッキレな感じの人が出てきたらどうしようと、緊張と手汗が止まらなかったのです。

 しかし、この2人は能ある鷹で、爪を隠しているだけなのでしょう。油断できません。こんな優しそうな顔をして、とんでもない圧迫面接をしかけてくるかもしれません。

「よし、いつでもこい! 暗記した志望動機をバシッと言ってやる」。心の中で気合を入れなおします。

自己紹介は1分にまとめる

 双方軽く名のりあった後、自己紹介を求められました。

「はい、キヨシマ●●と申します。福岡県出身で、2011年に●●新聞社に入社。●●県に配属となり、警察・司法担当から始まりスポーツ、教育、行政取材などを行ってきました。2015年に●●県に異動し、そこでも行政取材を中心に担当。2016年3月に退社し現在に至ります」

 正直、当たり障りのなさ過ぎる自己紹介ですが、ここは加点とならずとも減点にならなければいいやの精神で、1分以内にまとめることに注力しました。

 そして、エージェントに言われたアドバイス通りに進めていきます。

「上場して間もないということで、本日はお忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます」

面接の場を和ませる魔法の言葉

 最後に、ひとつ、ネットで見つけた技を繰り出してみました。

「本日は緊張していますが、よろしくお願いします」

 先方がふっと笑い「緊張しないでください」などとフォローしてくれます。「よっしゃ! うまくいった」。心の中でガッツポーズです。

 どうも面接が苦手な私。面接というか、堅苦しい場面が苦手です。苦手すぎて、入学式や卒業式なんかは具合が悪くなったり、行かなかったりするレベルです(この日も、風邪をひいてとにかく具合が悪かった)。

 どうにかその緊張を打破できないかと、ネットで面接対策情報を漁っていると「緊張しているなら『緊張している』と言った方が、場が和む。面接官も緊張している」という一文がありました。

 一理あります。私も働いているとき、インターンシップの学生さんの質疑応答担当を任されたり、懇親会に駆り出されたりすることがありました。

 学生さんのいい面をしっかり見つけて、いい人がいたら進言する必要があるのですが、人様の進路に関わる重大な任務と思うと緊張が止まりませんでした。なので、ネットでこの情報を見つけたとき、「これは使えるだろう」と考えたのです。

 ちなみに、このフレーズはこの後どこの面接でも有効だったので、個人的にはかなりおすすめです。

キヨシマの転職活動メモ
一、面接官も緊張している。自分が緊張しているなら、「緊張しています」と言ったほうが、場が和む。

マニュアル通りの展開じゃない

 なんとかいい雰囲気で面接を始められたので、「これなら練りに練った志望動機をスラスラ言える!」と思ったのですが、何とここで先方から「まず、仕事内容を紹介させてください」とのこと。

 30分ほどかけて、会社及び事業の概要、ターゲット層、入社後は慣らしで外部ライターと同じように取材をして、その後は進行管理など全体の目配せをしてほしい――といった説明があります。

 予想外の展開です。おぼろげな就職活動の記憶から、自己紹介→志望動機→先方からの質問→こちらからの質問という流れになるのだと勝手に思っていました。

 しかし、違うものはしょうがない。話を聞きながらメモを取ります。

 それが終わると、こちらからの質問タイム。これまでの仕事柄なのか、生来の性格なのか、質問するのは好きです。まずはエージェントや友人のアドバイス通り尋ねてみます。

「求める人材像は?」
「それぞれの仕事内容と、1日の仕事の流れは?」
「今回面接を受けている部署の、現在の人員は?」

 こういったやり取りをしつつ、いったいいつ志望動機や退職理由を聞かれるのだろうと身構えていたのですが、結局そういった質問は一切出ず、1時間ほどで面接は終了しました。

 ちなみに、せっかく友人にアドバイスしてもらったのに「活躍している人の共通点」を聞くのをすっかり失念しており、気づいたのはオフィスを出てからでした。本当にアホです。