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小澤 匡行
2017/04/12

深夜のジーンズメイトへ。アラフォーに刺さるアイテムはあるのか?

極私的買い物ルポ

 昔からファッション業界では、掘り出し物があるはずのない(と、世間が思っている)お店で掘り出し物を見つけた人には、もれなく「センスいいね!」の称号が与えられ、ドヤ顔が許されてきました。例えばスニーカーであったら、ファッションとは無縁のポジションにある街のスポーツ用品店や東京靴流通センターなどで、生産終了したヴィンテージを格安でディグったり、知る人ぞ知る一足を発見したりしたものです。大事なのはまず「どこで」です。そこで「何を」見つけるか。そんな話を担当の編集者と雑談レベルでしていたら、半ば強引に背中を押されたため、このシリーズ、不定期に続くかもしれません。というわけで初回は深夜営業でおなじみの、あの店です。

ジーンズメイトの歴史をおさらい

ジーンズメイトの誕生は、1978年。岡山県児島市に設立された「西脇被服本店」という衣料品製造卸売業社が、社名を「マックス」に改め、第一号店を下北沢にオープンしたのが始まりだそう。自社サイトの沿革がちょっとわかりにくいのですが、1991年には今のジーンズメイト的なショップ感に落ち着きました。24時間営業をスタートさせたのは1998年のこと。当時、大学生だった自分にとっては、「深夜に服って買えるのか」と驚かされた記憶があります。この頃はちょうどドン.キホーテも勢力を伸ばし始めた頃でした。ギャル男・ギャル文化に引っ張られるように、明るい深夜営業のカルチャーが発展したのだと思います。

 そんなことからジーンズメイトは、僕にとって若者文化の象徴だと思っていました。その他の低価格をウリにした小売りチェーン業に比べると、ショッピングセンター内の展開というよりは、駅近の路面店がメインであること。そして意外や首都圏中心に店舗が集まっている戦略が、バックパッカー的な外国人客にとって便利な存在になっているとか。ユニクロやライトオンに比べると「若者」や「独身」なイメージを感じるのは、僕だけではないでしょう。

 で、ここには何か引っかかるものが売っているのかを確かめに、アンテナを立てながら久々のジーンズメイトに足を踏み入れました。選んだお店は池袋本店。こんな眠らない街でも、さすがに終電を逃すと店内の明るさの割にはひっそりしています。今ならワンオペでも回せるレベル。見渡せは20代カップルと、50代男性客2名と自分です。コンサバな彼女が彼氏にカーディガンを薦めていますが、正直お互い興味はそこまで無さそう。始発までの時間潰しに着ているように感じます。この時点で26:00、先は長いです。

思わず目を奪われた5つのアイテム

 入り口で迎えてくれたものは、「シンジュク」Tシャツです。

シンジュクTシャツ(1,800円)

 完全に外国人客を意識しています。大竹伸朗の「ニューシャネル」Tかと一瞬目を疑いましたが、シンジュクです。ちなみにハラジュクもありました。パロディかどうかはさておき、視点はキャッチー。意外な懐の深さを感じました。1,800円。

 そして驚いたのが、キャッチーなキャラクターのチョイス。

スヌーピーのクッション(2,500円)

 ジーンズメイトのPBブランド、Blue Standardと誕生65周年を迎えて勢いが加速しつつあるピーナッツ社のコラボレーションでした。Tシャツがメインでしたが、車中に置くのにちょうどいいサイズ感のクッションが。カップルからファミリーを持つパパさんにも。シートの背もたれと腰の間に挟む、腰痛対策クッションとしては出来過ぎなシルエットです。2,500円。

アラフォー世代に懐かしいものがいっぱい

 そして意外と見かけない(?)アイテムも発見しました。

ヘインズのパックT(2,000円)

 ヘインズのパックT。ベーシック人気で再び「ただのヘインズ」を着ることが、おしゃれな時代ですが、意外とこのパックTって、どこにでも売っているわけじゃないと思います。アメリカのスーパーにありそうな、脱ファッション的な感覚が、おそらく時代のムードなのだと思います。ちなみに個人的にヘインズは赤パックより青パック派。違いはコットン100%かポリエステル混か。ヘインズを初めて手にしたのは中学生のとき。部活で着るのがメインでしたが、赤パックを洗い込んだときにネックがゆるくなるのがなんとも嫌なので、型崩れしにくいポリ混を選んでいました。2,000円。ちなみに今年はパックTの誕生70周年。赤パックと青パックをミックスした記念のパックTが4月下旬に発売されるそうですが、赤が不要な自分はスルー。

 この分厚さが懐かしい。

チャンピオンの3Pソックス(1,200円)

 チャンピオンの3Pソックスもヘインズと同じ、部活つながりです。ちょうどジーンズメイトが地元の駅前にオープンした1993年、自分はバスケ部に所属していてバッシュに分厚いソックスをくしゅくしゅとたるませて履くのがトレンドでした。1992年に開催されたバルセロナ・オリンピックのアメリカ代表チームの限定モデルが全てトリコロール配色だったため、そこにチャンピオンを合わせるのは、まさに狙い澄ました最高にクールな組み合わせだったのです。ヘインズと同様、僕にとっては懐かしく、若者世代にとっては旬なアイテムでもあります。1,200円。

 最後にレジ前で発見しました。

ハバハンクのバンダナ(600円)

 1947年、アメリカのサウスカロライナ州で設立した老舗のハバハンク。その出自は軍用にハンカチを納入したことにあります。長い歴史にあって、時代によってディテールが変わるため、価値が大きく異なる奥の深いバンダナですが、現行品がまだアメリカで生産されているという事実。パンツのポケットから数ミリちらっと見せるおしゃれを楽しむ派ですが、3代目 J Soul〜〜のように頭に巻くのも今の気分かもしれません。600円。

 チャンピオンやヘインズって若者にとっては新鮮なトレンドですが、アラフォー世代にとっては懐かしくもあるベーシック。出自のしっかりしたブランドが少しでもあると知れば、安心してお店に入れますね。ワーキングスタイルが私服で、かつ昼夜関係のない自分にとっては、不意な泊まり込みの徹夜仕事に対応出来る一通りのアイテムが揃っているようです。堀り出しレベルは「3」ということで。

写真=小澤匡行