「賃貸」VS「持ち家」のくだらない論争はそろそろやめにしよう

「住宅購入」という名の危険な大バクチ

牧野 知弘 牧野 知弘
1ページ目から読む
2/2ページ目

家賃を払い続けることは「もったいない」のか?

 賃貸住宅に住み、家賃を支払い続けることは、なにも「もったいない」という話ではない。家賃はあくまでも生活をするためのコストであるからだ。単身のときは、狭い部屋でもよいだろう。結婚して家族が増えれば少し大きな家に住めばよい。子供が独立したら夫婦だけが暮らせる小さな家に借り換えればよいだけの話だ。子供なんかはすぐに大きくなるものだ。適当な時期で追い出せばよい。こう考えれば、大博打である家の「購入」に拘らずに、生活するためのコストとして家賃を喜んで払うほうがはるかにリスクの少ない生き方ができるというものだ。その割に極めて多くの人がいまだに家の購入という、大博打を売っているようにしか私には見えない。

 昔は、家族向けの賃貸住宅がない、だから家を買わざるを得ない、などとわかったようなことを言われた。でも安心してよい。三大都市圏には地方からやってきた人々が購入した戸建てやマンションが大量に存在する。この人たちの多くが東京五輪後は後期高齢者になる。大量の家族向け賃貸住宅がマーケットに供給される日も近い。

 無理やり購入して一生分の稼ぎをせっせと「価値が落ちていく」家に払い込み続けることより、家なんて生活するためのコストとわりきって、住宅ローンで借りるはずだった金額を別の投資用案件(それは不動産に限らない。いろいろな投資用商品が世の中には溢れている)に投資したほうが、はるかに豊かな人生を送ることができるようになることに、やがて多くの人が気づく日がやってくるのである。

ADVERTISEMENT

 人生はもっと大切にすごしたいものだ。