文春オンライン

「シリア情勢」と「4月朝鮮半島危機」を理解するための“5大発言”

習近平を10秒沈黙させたトランプの発言

2017/04/15
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安倍晋三 首相
「化学兵器の使用を許さないアメリカ政府の決意を日本政府は支持する」

TBS NEWS 4月7日

日米首脳会談で抱き合うふたり ©getty

 法的根拠のなさや、国連安保理決議を経ていないなど、米のシリア攻撃に懸念が巻き起こる中、いち早くトランプ大統領への支持を表明したのが安倍晋三首相だ。

 9日にはトランプ大統領と電話会談を行い、「私からはトランプ大統領がまさに、同盟国、そしてあるいは、世界と平和の安定のために、強いコミットメントをしていることに対して、高く評価をいたしました」と記者団に語った(産経新聞 4月9日)。

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 安倍首相の発言の背景には、当然ながら北朝鮮の核・ミサイル問題がある。米のティラーソン国務長官は、シリアへのミサイル攻撃について、核開発などを進める北朝鮮への警告の意味が込められているという考えを強調した(日テレNEWS24 4月10日)。また、米政府が4月上旬の日米高官会議で、中国の対応によっては北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性について言及していたことも明らかになった。米政府高官は「選択肢は2つしかない。中国が対応するか、われわれが攻撃するかだ」と語ったという(FNN 4月12日)。

 4月上旬といえば、国会で森友学園問題が紛糾していた頃。安倍首相は、日本にとってすさまじく大変かつ重要なときに、自身と昭恵夫人によって巻き起こされた問題の後処理に頭を悩ませていたことになる。何やってんだか、という気持ちになるが、無論その問題だってまだ解決したわけではない。

ドナルド・トランプ 米大統領
「北朝鮮は面倒を起こそうとしている。もし中国が協力することにするなら、それは最高だ。もししないなら、(中国)抜きで問題を解決する! U.S.A.」

ツイッターより 4月11日

金正恩 ©共同通信社

 北朝鮮をめぐる情勢は緊迫が高まる一方だ。米政府は原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群を朝鮮半島近海に向かわせており、「無敵艦隊を派遣した。空母よりずっと強力な潜水艦も持っている」(共同通信 4月12日)というトランプ大統領の発言も注目を集めた(「無敵艦隊」とは通信社の誤訳という指摘もある)。

 こうした動きに対して、北朝鮮は「挑発あれば、核攻撃をする」とダイレクトすぎる反応を示している。安倍首相は13日の参院外交防衛委員会で「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と北朝鮮の新たな脅威に触れた。

 今日4月15日は故・金日成主席の誕生日「太陽節」であり、北朝鮮にとっては一大イベント。この日に核実験を行うのではないかという懸念も広がっている。米軍が4月27日に北朝鮮を空爆するという噂も広まっているが、韓国政府はこうした「4月朝鮮半島危機説」を否定している(ホウドウキョク 4月13日)。

「現在、朝鮮半島で高まっている危機の一番おっかないところは、キューバ危機ではケネディとフルシチョフだったのが今回はトランプと正恩なことだ」というツイートが拡散されている。冗談のようで、冗談ではない。作家の百田尚樹氏はツイッターで「もし北朝鮮のミサイルで私の家族が死に、私が生き残れば、私はテロ組織を作って、日本国内の敵を潰していく」とつぶやいていた。

 とにかく北朝鮮関連のニュースに今後も注目だ。

「シリア情勢」と「4月朝鮮半島危機」を理解するための“5大発言”

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