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常井 健一
2017/04/22

安倍×小池×小泉会談 小泉元首相の密着記者が語る“2人のキーマン”

なぜ料亭「津やま」に集まったのか?

genre : ニュース, 政治

 安倍晋三、小池百合子、小泉純一郎が、赤坂の料亭でまさかの揃い踏み──。まるで、自民党版「フィールド・オブ・ドリームス」のような出来事が18日に起きた。

《小泉元首相や自民党の二階幹事長、小池百合子・東京都知事ら小泉政権の主要メンバーが18日夜、東京・赤坂の日本料理店で会食した。(略)会食には、自民党の山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長も参加。(略)また、同じ店で財界人らと会食した安倍首相が宴席に顔を出し、あいさつを交わしたという。》(読売オンライン、4月19日)

 現場には報道各社の番記者たちが勢揃いしながら、経緯も中身も闇の中。今のところ全容を解明した報道もない。そこで、小泉氏に同じ料亭で引退後初のロングインタビュー(『小泉純一郎独白』)を行い、現在も取材を続けているノンフィクションライターの常井健一氏に、小泉氏を中心とした出席者の人間関係から見えてくる背景を聞いてみた。

小泉流の「おもてなし」がなされる料亭

 まず、今回の会場が東京・赤坂の「津やま」だったことに注目すべきでしょう。この店は小泉氏の台所のような場所。27歳の初陣で落選した後、福田赳夫の書生をしていた時代に訪ねて以来、40年以上も前から1階のカウンターか、小上がりで一人晩酌をしに通っている高級小料理店です。2階には小泉氏が客人を招く際によく使う座敷があり、10人くらいまで入れる。室内にはトイレもあり、セキュリティも秘匿性も抜群です。

常井氏による小泉純一郎独占インタビューも「津やま」で行われた ©常井健一

 小瓶で出てくるビールを4:6の泡多めにして手酌で注ぐのが小泉流。1、2杯引っかけた後、冷やの日本酒をコップで行くか、お湯割りの芋焼酎に移ります。2合までなら酔わない。その間、付き出し、刺身、沢煮椀などと続き、名物の鯛茶漬けが出てくる。「まず、鯛を数切れツマミとして食べ、残りをご飯の上に乗せてお茶漬けにするといいんだ」。小泉氏は客人にそう食べ方を教えながら、自分は稲庭うどんで済ませることが多いそうです。

 一部報道にもあるように、今回は小泉氏が主催者となった会合だったのではないでしょうか。会話もおそらく小泉氏のペースで原発ゼロの思いを熱弁したのでは。最近、X JAPANのYOSHIKIさんと楽天の三木谷浩史会長と会食した際も、半分以上はその話題だったそうですから。出席者の小池百合子氏は東京電力の大株主である東京都のトップでもある。将来の連携を念頭に、彼女の奮闘ぶりを称えた後には、同席した二階俊博幹事長に「自民党も選挙公約にすれば総選挙で大勝利できる」と煽ったに違いありません。

安倍・小池・小泉を「呉越同舟」でセッティングできた人物とは?

 しかし、小泉氏は会場を「津やま」に指定しても、メンバーの人選まで細かく指示を出す性格ではありません。出席者を見る限りでは、小泉氏は「あとは頼んだよ」と言って、現職時代に「YKKトリオ」として連携し、引退後も継続的に懇談している山崎拓氏か、自民党幹事長の二階俊博氏あたりに人選を一任したのでしょう。

 特に二階氏とは、昨年12月に息子の進次郎氏も加えた形で、酒席を共にしていますし、政治記者たちによると小池氏とのホットラインは絶やしていないという。都議会選挙で睨み合う二階氏と小池氏が公然と仲良くしていても、小泉氏を主催者に祭り上げれば、外向けには「小泉政権同窓会」という自然な形を装え、不用意な疑心暗鬼を生まないということで両者にとっても都合がいいのです。

二階俊博氏 ©鈴木七絵/文藝春秋
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