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鳥集 徹
2017/05/04

ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人

寿命を伸ばす効果のない「がん検診」より「がん予防」

「感染」は意外に大きながんの原因

 喫煙と同様に、がんの原因として大きいのが「感染」です。男性ではがん罹患の22.8%、がん死亡の23.2%、女性では喫煙より大きく、がん罹患の17.5%、がん死亡の19.4%が感染によるものと推計されています。がんの原因として感染が、意外に大きいことがわかるでしょう。

 感染のうち、がんリスクを上げることが確実とされているのが、「肝炎ウイルス(肝がん)」「ヘリコバクター・ピロリ(胃がん)」「ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)」です。

 このうち、「肝がん」は、患者の約8割がC型またはB型の肝炎ウイルスに起因するとされています。かつては輸血、血液製剤、注射針の使い回しなどで感染が広がり、「薬害肝炎」が大きな社会問題となりました。しかし、現在はそれらの感染対策が進んだことで、肝がんによる死亡者数は2000年代初頭をピークに減少に転じています。

 とはいえ、今でも65歳以上では100人に1~2人がC型肝炎ウイルスに感染していると推計されています。各地の保健所に行けば無料で検査が受けられる自治体も多いので、一度は感染の有無を確認して、感染していたら肝臓の専門医などに相談してみてください。抗ウイルス薬が進歩したおかげで、C型肝炎ウイルスはほとんど駆除できるようになりました。

「胃がん」も、よく知られているように「ヘリコバクター・ピロリ(いわゆるピロリ菌)」の感染によって発症リスクが高くなるのは「確実」とされています。かつて、ピロリ菌は井戸水などを介して感染が広がったと考えられていますが、上下水道の整備などによって若い人ほど感染率が下がりました。しかし、現在でも高齢の人は7~8割が感染していると推計されています。

 私の記事「『がん検診』受けるべきはこんな人」でも書きましたが、胃がんについては、ピロリ菌感染と胃粘膜萎縮の有無を血液検査で調べる「胃がんリスク検診(ABC検診)」という方法があります。この検診で胃がんリスクが高いと評価された人は、定期的に「内視鏡(胃カメラ)」による検査を受けたほうがいいかもしれません。

男性のがん罹患の原因の1割近くは「過度の飲酒」

 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交経験のある女性なら多くが一度は感染するとされていますが、感染してもほとんどは免疫によって自然に排除され、がんになる人は一部です。とはいえ、「低年齢での性交体験がある」「性的パートナーが多い」「多産」「HPV以外の性感染症に感染している」「喫煙している」といったことが子宮頸がんのリスク要因になるとされていますので、気になる方は産婦人科医に相談してみるといいでしょう。

 三番目にがんの原因として大きいのが「過度の飲酒」です。男性ではがん罹患の9%、がん死亡の8.6%(女性はがん罹患、がん死亡とも2.5%)が、過度の飲酒に起因すると考えられています。1日あたり日本酒1合程度の適度な飲酒は心血管疾患の予防になると考えられていますが、過度の飲酒は「全がん」「肝がん」「大腸がん」「食道がん」のリスクを上げることが「確実」とされています。ですから、呑兵衛の方々はできるだけ、アルコールの量を控えるようにしたほうがいいでしょう。