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ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人

寿命を伸ばす効果のない「がん検診」より「がん予防」

2017/05/04

意外と少ない「食事、運動、体形」との関連

 他の要素についても、がんの原因となっている割合が計算されていますが、食事(塩分、野菜・果物)、身体活動、体形に起因する割合は、それほど大きくありません。たとえば、野菜不足が原因とされるがんの割合は、男性ががん罹患、がん死亡とも0.7%、女性ががん罹患、がん死亡とも0.4%と推計されています。運動も男性はがん罹患が0.3%、がん死亡が0.2%、女性もそれぞれ0.6%、0.4%とわずかです。

 ですから、がん予防の面だけから見ると、むやみやたらに大量の野菜を食べたり、運動やダイエットをがんばり過ぎる必要はないのです。ただし、野菜不足、運動不足、太り過ぎは、他の病気の原因になります。たとえば、食べ過ぎ、運動不足、太り過ぎなどで2型糖尿病になると、心筋梗塞や脳卒中になりやすくなるだけでなく、がん、認知症、うつ病などのリスクも上がるとされています。したがって、バランスのいい食事をして、適度に体を動かすことは、健康維持のためにも大切だと言えるでしょう。

がんの三大原因を避けるだけで予防効果大!

 いずれにせよ、がんの原因として大きな割合を占める「喫煙」「感染」「過度の飲酒」を避けるだけで、かなりのがんを予防できる可能性があるのです。そして、これらの研究成果に基づき、どのようなことをすればいいのか、前出のパンフレットで具体的な予防策が提言されています。次回、その予防法について、解説したいと思います。

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それでは冒頭の問題の答えはこちらです。

問)タバコと胃がんは関係ない。

答)×

 喫煙は肺がんだけでなく、胃がん、食道がん、膵がん、子宮頸がんのリスクも上げます。

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