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池上 彰
2017/05/08

池上さんに聞く、ドイツが移民受け入れに寛容な理由

池上さんに聞いてみた。

Q なぜドイツは移民受け入れに寛容なのですか

 メルケル首相は、なぜ移民受け入れに寛容でいられるのでしょうか。自国民から激しい反発がありながらも、毅然と移民を受け入れているのには、どんな考えがあってのことなのか。日本は学ぶべきところがあるか。自国第一主義を訴える政治家が増えている中、気になっています。(40代・男・会社員)

A メルケル首相の姿勢は、戦後のドイツが歩んだ道の集大成のように見えます。

 第二次世界大戦中、ナチス・ドイツは、ユダヤ人ばかりでなく、身体障碍者や少数民族も強制収容所に入れて虐殺しました。

 戦後のドイツは、この過去をどう反省するかが迫られました。その結果、過去の自らの犯罪から目を逸らさないという道を選択しました。高校の歴史では、自国の負の歴史を1か月かけて学習し、強制収容所を見学します。

 こうした態度があったからこそ、戦後のドイツはヨーロッパ各国から受け入れられ、欧州統合の枢軸になれたのです。

 その流れを汲んで、メルケル首相は就任以来、移民・難民受け入れにはずっと寛容な立場を貫いてきました。

 中東から多くの難民が押し寄せたとき、メルケル首相は、「難民を追い返してしまったら、自国の歴史を十分に反省していないことになる」と考えたのでしょう。

 もちろんドイツ国内にメルケル首相の移民・難民受け入れ政策への反発もありますが、メルケル首相の支持率が大きく下がったわけではありません。多くのドイツ人が、メルケル首相の寛容な政策を容認しているのです。

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