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手間もお金もかけない「ひとり飯」レシピ本が10万部を超えた理由

『世界一美味しい煮卵の作り方 家メシ食堂 ひとりぶん100レシピ』(はらぺこグリズリー著)――ベストセラー解剖

2017/05/21
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『世界一美味しい煮卵の作り方 家メシ食堂 ひとりぶん100レシピ』(はらぺこグリズリー 著)

 単身者はもちろんのこと、既婚者であっても意外と多い「ひとり飯」の機会。自分ひとり分だし、手間もお金もかけたくはないけれど、できれば満足度の高い食事がしたい。そんな気持ちにフィットする、ありがたいレシピ満載の新書が、スマッシュヒット中だ。

「中には『これって料理なの?』と思わず言いたくなるようなレシピも載っています。『キャベツに牛角の旨塩だれとすりごまをかけるだけ』とか。でも逆にそこがウケている理由でもあるのかなと感じています」(担当編集者の樋口健さん)

 ほかにも、「カニカマを裂いてマヨネーズと和え、わさびを乗せるだけ」など、シンプルな手順のレシピを多数掲載。トマトソースの作り方など若干凝ったレシピも掲載されてはいるが、それも類書に比べれば格段に易しい。著者も編集者も、とにかく簡単で、でも料理を作る楽しさを感じられるような本を目指したという。作業工程だけではなく、材料もスーパーで簡単に買え、値段も手頃なものだけを選ぶ徹底ぶりだ。本を買ったその日から、ごく気軽に試すことができる。そのレシピの放つ魅力は、とある人気マンガと通底するところがあるとも。

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「『花のズボラ飯』と一緒に買う方が多いというデータがあるんです。あのマンガの料理って、ちょっとお行儀は悪いですが美味しそうじゃないですか」(樋口さん)

 普段台所に立つ習慣のない人にこそ、試してほしい。

2017年2月発売。初版1万部。現在7刷10万2000部

手間もお金もかけない「ひとり飯」レシピ本が10万部を超えた理由

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