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小宮山 雄飛
2017/06/03

大人ならシャツはインしないといけませんか?

小宮山雄飛の「お悩み食堂」 #9

<お悩み> 大人ならシャツはインしないといけませんか?

 いつも水色系のシャツを爽やかに着こなしている雄飛さんに質問です。僕は出版系の会社で働いてるのですが、会社の服装規定に疑問を感じています。

 うちの会社は背広やネクタイなどのルールは全くなく、自由に私服でいいのですが、一点だけ、なぜか社長が「シャツだけは必ずパンツにインしろ!」と言うのです。

 シャツをインせずに外に出しているのは、大人としてみっともないということらしいのですが、僕はシャツをインするのがどうにもダサく感じてます。

 もちろん背広の時や、大事な交渉の時など、TPOに合わせてシャツをしっかり入れる着方は大事だと思いますが、普段カジュアルな格好の時は、できればシャツをインしたくありません。

 雄飛さんも日々シャツをカジュアルに着こなしてらっしゃいますが、シャツに関する社長の考えどう思いますか?

(25歳・男性・出版系サラリーマン)

(小宮山雄飛の回答)

 シャツをインするか問題ですね。

 ちなみに僕はここ数年、ほぼ同じタイプのシャツを何着も買って、毎日同じ格好をしています。

 これは、かのスティーブ・ジョブスやマーク・ザッカーバーグと一緒で、服をルーティーンにすることで、日々の服選びから解放され、余計な要素が入らない分、よりクリエイティブなことだけに集中できるスタイルなんです。

 ところで食の世界で大いなるルーティーンといえば、鰻屋さんでしょう。

 毎日毎日、鰻を捌いては焼き、秘伝のたれは継ぎ足し継ぎ足しで、何年もかけて味が守られて行く。

「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」などと言われるほど、偉大なるルーティーンワークで受け継がれる味の世界です。

 赤羽にある「川栄」もそんな由緒ある鰻屋さんの一つ。昭和21年の創業以来、3代に渡って日々これ味を守り続けている名店です。

 こちらのお店、メニューに定番の<うな丼><うな重>に加えて<しのび>なるものがある。せっかくなのでと頼んでみたのですが、出て来たのはパっと見、普通のうな丼と変わらないもの。

(なにが違うんだろ?)

 と思いつつ、鰻を一口。

 うまい!

 さすが歴史あるお店、ふっくらしっとりと焼き上げられた鰻と、それに絡まる代々受け継がれた絶品のたれがたまりません。

 さらに、たれの染みたご飯がまた最高で、思わず箸が止まらず、丼のご飯を掘り進んでいくと、なにやらご飯の中から出てきました。

 ん? これは?

 なんと、ご飯の中から鰻がもう一尾!

 お前、ご飯の中にインしてたのかーー!!

 そうなんです、<しのび>とは、ご飯の上に乗っている鰻の他に、ご飯の中にもう一尾鰻が忍んでいる贅沢丼なのです。

 ご飯の中にインしていた鰻は、ご飯の蒸気で蒸されることでよりふっくらとして、上に乗っている香ばしい鰻とまた違う味わいが楽しめるのも、こちらの特徴。

 このように、鰻もシャツも外に出てる良さもあれば、中にインしてる良さもあるんじゃないでしょうか。

 社長と一緒に「川栄」で美味しい<しのび>を食べたら、お互いインとアウト両方の良さに気づくかもしれません。

丼のなかに鰻がインしている「川栄」のしのび

 なおその際は、ぜひはしご呑みタウン赤羽ですから、一軒で終わらせず、さらに居酒屋「まるます家総本店」や立ち飲みの「いこい本店」辺りも巡ってみてください。最終的にベロベロに酔った社長が、自らシャツをアウトし始めたらこっちのもんです。

川栄
北区赤羽1-19-16
03-3901-3729
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13008753/

まるます家総本店
北区赤羽1-17-7
03-3901-1405
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13003778/

立ち飲みいこい本店
北区赤羽1-3-8
03-3901-5246
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13136693/

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