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「組員6000人の顔写真を入手済み」警察vs.山口組「特定抗争」指定をめぐる水面下の暗闘

「組員6000人の顔写真を入手済み」警察vs.山口組「特定抗争」指定をめぐる水面下の暗闘

2020/01/25

source : 週刊文春デジタル

genre : ニュース, 社会

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「新幹線利用は報告」「連絡は電話のみ」

 特定抗争指定が効力を発揮する1月7日以前、山口組の組員らに本部から通達があった。

「5人以上で集まるな」
「新幹線を利用する場合は報告せよ」

「5人以上」の意味合いは、特定抗争指定された後、山口組、神戸山口組の双方の組員が、おおむね5人以上で集まれば即座に逮捕されるためだ。

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 ある程度の人数で集まるということは拳銃や刃物などの凶器を携えて対立抗争事件を引き起こそうとしているか、事件の事前謀議を行っていると警察は解釈するはずだという懸念からこうした指示が出ているという。

 このような通達は専門の担当者を置いて全て電話でやり取りがなされているという。ファックスやメールなどでは証拠が残るためだ。

山口組の司忍組長 ©時事通信社

 意図せず偶然の場合でも逮捕されることを回避するための用心深さも窺える。例えば東京駅と新大阪駅の間を行きかう東海道新幹線に偶然に山口組の組員5人がばらばらに乗っていた場合、警戒区域に指定されている名古屋市に到着した段階で、新幹線の車内で逮捕されることが予想されるため、新幹線利用の際は事前に報告が求められている。

 偶然であっても、警察は「対立抗争事件に向かうにあたり、警察を警戒して車内で分散して新幹線に乗車していたのだろう」との強引な解釈で逮捕に乗り出してくることを危惧。このため、新幹線を利用する際には山口組本部に報告することが義務付けられ、複数での乗車の可能性があれば利用する新幹線の変更の指示がなされることになっているという。

 このほか、山口組全体の定例の会合については、警戒区域外の弘道会の傘下団体の事務所で会合を開くことにしているという。この事務所は100人ほどが入っても問題ない広さがあり、定例の会合には支障がないとしているほか、傘下の2次団体の多くも警戒区域外でそれぞれ個別の会合を開くとしており、警察への警戒から水面下での活動にシフトしている。