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鳥嶋 真也
2017/06/16

イーロン・マスク vs. ジェフ・ベゾス カリスマはなぜ宇宙を目指すのか?

マスクの「火星移住」、ベゾスの「月までAmazon」 構想

 スタイリッシュな電気自動車を世に出した「テスラ」の創業者にして、宇宙事業会社「スペースX」を立ち上げた実業家のイーロン・マスクが、早ければ今月18日にも、さらなるロケットの打ち上げに挑む。

 一方、Amazon.comの創業者にして世界で第2位の富豪であるジェフ・ベゾスもまた、ロケットや宇宙船を開発する企業「ブルー・オリジン」を設立。宇宙事業に乗り出すとともに、マスクのライバル的な存在として立ちはだかろうとしている。

 宇宙を舞台に熱い火花を散らすマスクとベゾス。なぜ彼らは宇宙を目指し、そして宇宙で何をしようとしているのだろうか。

イーロン・マスク(右)、ジェフ・ベゾス(左)©getty/Blue Origin

「人類が宇宙で暮らせるように」ロケットを開発するイーロン・マスク

 イーロン・マスクは1971年生まれで、現在45歳。若いころに彼が立ち上げた、ネット決済サービス「ペイパル」の売却などで得た資金をもとに、2002年に設立したのがスペースXである。

イーロン・マスク ©SpaceX

 スペースXを設立した目的を、彼は「人類が宇宙で暮らせるようにするため」と語る。そのためには誰もが利用できる、安全で安価なロケットが必要になる。しかし米国航空宇宙局(NASA)はもちろん、世界のどこにもそんなロケットはなかった。ならば自分たちで造るしかないと考えたのである。

 マスクは米国の優秀な技術者を何人も口説いて引き抜き、NASAや国防総省などからの資金援助も次々と取り付けるなどし、そして世界で最も進んだロケットと宇宙船を開発した。

 同社が開発した「ファルコン9」ロケットは、米国や欧州、日本の大企業が開発したロケットに比べて、ほぼ同じ性能ながら圧倒的に安価という特長をもつ。ファルコン9はこの低価格を武器に、世界中の通信衛星会社などから、人工衛星の打ち上げ受注を取り付けている。

 宇宙事業を手がける企業というのは、実は珍しくなく、米国には1990年代から、雨後の筍のように数多くの宇宙ベンチャーが立ち上がっている。しかし、その多くはロケットひとつすら満足に造れずに撤退している。

「何度も飛ばせるロケット」で革命は起こるか?

 なぜ、スペースXはここまで躍進することができたのか。マスクをよく知る人物は、彼のことを「原理・原則にしたがって考える」、「物理学の限界に挑むことを要求する」人物だと語る。

 これまでNASAや大企業がロケットを開発しようとした場合、多かれ少なかれ政治的な理由で、ロケットの性能や開発する企業が決められていた。これでは無駄なコストがかさむばかりか、技術的に最適なロケットは造れない。

 しかしマスクは、どうすれば優れたロケットが造れるのか、ということを突き詰めて考え、そのための研究・開発を惜しまなかった。技術的に合理的な、最適解を選んで開発したからこそ、スペースXは高性能かつ低コストな、先進的なロケットや宇宙船を造り上げることができたのである。

イーロン・マスクの宇宙企業スペースXが開発した「ファルコン9」ロケット。打ち上げ後に着陸させて回収し、ふたたび打ち上げられる、先進的なロケットである ©SpaceX

 同社はまた、ロケットを打ち上げ後に着陸させて回収し、何度も再打ち上げができる「再使用ロケット」の開発も進めている。従来、ロケットは打ち上げごとに使い捨てるのが当たり前だったが、マスクはかねてより「飛行機のように何度も繰り返し飛ばすことができればコストを安くすることができるはずだ」と主張しており、そして実現に移しつつある。

 本当に安くなるかはまだ未知数だが、実現すれば宇宙輸送に革命が起こるだろう。

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