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アンヌ・フォンテーヌ監督が修道院で生活してみた理由

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©MASAHIRO MIKI

 神に貞潔を誓った修道女が、兵士の蛮行によって子を宿した事件――。第二次世界大戦終結の年、ポーランドの修道院であった実際の出来事だ。『ココ・アヴァン・シャネル』で知られるフランスの映画監督アンヌ・フォンテーヌが、その事件を基に製作した『夜明けの祈り』が公開される。

「マドレーヌ・ポーリアックというフランス赤十字の女性医師が記した“修道女が妊娠していた”というメモから発展させてこの作品に仕上げました。これはポーランドでも公表されず、当事者も口を閉ざしてきた事実です。戦争の武器が暴力である以上、時代や国を問わず起きているこのことを伝えたかったのです」

 戒律か母性か。苦悩する修道女の前に現れるのが主人公の若き女医マチルド。無宗教者のマチルドは、医師として救いの手を差し伸べる。

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「修道女はステレオタイプに受け取られがちです。しかし修道院を描くため、実際に修錬者として生活をしたところ、実は皆、様々な悩みや疑問を抱え、信仰の在り方はそれぞれに違っていた。作品でも、暴力の前に無力だった人達が信念を持つ人間によって連帯し、光を見出していきます。無宗教の人が多い日本では、この作品がどう映るのか。私はとても興味を持っています」

INFORMATION

『夜明けの祈り』
8月5日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
http://yoake-inori.com/

アンヌ・フォンテーヌ監督が修道院で生活してみた理由

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