「7年くらい前に、あるフランス人男性と旅をしたの。忙しい日常から解き放たれて、フランスの田舎を楽しんでワインをいっぱい飲んでね。そういう旅の歓びを、映画にして皆さんに届けたかった」

 フランシス・F・コッポラの妻で、『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』などのドキュメンタリーで知られるエレノア・コッポラが初の長編劇映画を手がけた。『ボンジュール、アン』(7月7日公開)は、多忙すぎる夫に一抹の寂しさを感じる中年女性が、旅を通して人生を見つめ直す、お洒落な会話と美食に溢れたロードムービーだ。

「フランス男は食べ物・女・美しい景色に敏感に反応する連中でね(笑)。女性へのアテンドぶりはもちろん誇張して撮っているんだけど。この映画で料理やワインは1つのキャラクターなの。伝統食からカジュアルなものまで、フランス料理のもつ多面的な性格を示したかった。ちなみに私はチョコレート狂よ!」

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 中年期は幸せとは何かを改めて考える、夫婦の変化期だという。54年にも及ぶ夫フランシスとの結婚生活は?

「もちろん、どんな人間関係も起伏がありますよ(笑)。でも『地獄の黙示録』の撮影で夫と共にフィリピンにいたことが私の人生を変えました。本当に長くてハードな撮影で、外国の知らない土地で拷問のような日々。でも彼のビジョンを完成させてあげたいと思ったし、才能を信じられた。失敗を恐れなかった。だからかしら、私はこの歳になって情熱のおもむくままに生きることに何の恐怖も感じないの」

INFORMATION

『ボンジュール、アン』
7月7日(金)TOHOシネマズシャンテ 他 全国ロードショー
http://bonjour-anne.jp/