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「五輪延期すべき」論の“火付け役” 山口香JOC理事が「密室」の外で声をあげた理由

安倍首相も「完全な形困難なら延期判断も」

2020/03/24
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山口香JOC理事が「五輪、延期すべき」

 竹田JOC会長が退任したあと新会長に山下泰裕氏が就任。先週そんな山下JOC会長が「不快感」を示した。これ。

「JOC理事の山口香さん『五輪、延期すべき』」(朝日新聞デジタル3月20日)

 JOC理事でソウル五輪女子柔道銅メダリストの山口香氏が「アスリートが十分に練習できていない状況での開催は、アスリートファーストではない。延期すべき」との考えを示したのだ。

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山口香氏 ©︎共同通信社

 これに対し「山下会長不快感」(サンスポ3月21日)となったが、アスリートファーストに立って考えを述べた山口氏のほうを正論と世の中は受けとめた。

 山下氏といえばJOC 理事会を報道陣へ非公開にすると決めたという話題も去年あった。

 すると山下JOC会長の提案に対し、採決で反対したのは「4人」。その名前は、

・小谷実可子(シンクロナイズドスイミング88年ソウル五輪銅メダリスト)

・高橋尚子(マラソン00年シドニー五輪金メダリスト)

・山口香(柔道84年世界選手権金メダリスト)

・山崎浩子(新体操ロサンゼルス五輪代表)

《いずれも女性。普段の公開の理事会でも積極的に発言する顔ぶれだった。》(毎日新聞2019年8月26日)

 そもそも竹田前会長の問題は公共性の高い組織や人物が裏で何をしていたのかという点だったのにまたしても「密室」にこだわった山下JOC会長。

 そして今回も山口香の正論が放たれ、山下が一本とられた形になった。五輪絡みではおじさんたちの古さしか目立たないのである。

3月20日、オリンピック聖火の到着式での山下泰裕JOC会長(右から2人目)ら ©︎AFLO

なぜ「呪われた五輪」になったのか?

 東京五輪・パラリンピックは本当にアスリートファーストなのか。次の記事を読んで欲しい。

「パラスポーツ 感染に恐々 健常者よりリスク高く」(毎日新聞3月21日)

《新型コロナウイルスの感染拡大は、東京パラリンピックを目指すパラスポーツ選手にも大きな影響を及ぼしている。重度の障害のある選手が感染により肺炎を引き起こすと重症化する恐れがあるだけに、事態は深刻だ。》

 アスリートファーストなら真っ先に考えられなければいけない件だ。しかし、やれ経済損失がどうとかが今も大声で話されている。

 麻生太郎氏は「呪われた五輪」と言ったが、政治の話しか出てこないから呪われるのだ。

 東京2020が政治家の見栄とか経済があいかわらず前提だと言うなら、もうやめたら?

「五輪延期すべき」論の“火付け役” 山口香JOC理事が「密室」の外で声をあげた理由

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