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大山 くまお
2017/08/11

私が菅官房長官に「大きな声」で質問する理由 東京新聞・望月衣塑子記者インタビュー#1

質問するときに気をつけていることは、大きな声で聞くこと

――ちなみに記者会見のとき、望月さんはどのあたりに座っているんですか?

望月 いつもだいたいみんな定位置に座っていますが、私は菅さんの真ん前、前から4列目あたりの中央ちょっと左側です。お互い顔がきちんと見える距離ですね。最前列は番記者さんが並んで座っています。

――記者会見動画を観ると、番記者の人たちの声が聞こえにくいんですが……。

望月 一番前に沢山いるので、聞き取りにくいこともあります。

――だからその分、望月さんの質問がはっきり聞こえます。

望月 ハハハ。私はもともと、やたらと声が大きいということもあるんですけど、質問は国民のみなさんが聞いているかも知れない、だからはっきりと聞こう、という意識はあります。

 

――官房長官に質問するとき、質問のテクニックとして気をつけているようなことはありますか?

望月 やっぱり大きな声かな(笑)。みんなに伝わるように質問しようという意識はありますね。菅さんからコメントを引き出すだけじゃなく、なぜそういうことを聞いているのかを含めて文脈が伝わるように質問しています。質問の根拠や取材した部分も話すので、「質問は簡潔にお願いします」って広報官の人に注意されてしまいがちなので、そこは改めてもっと気をつけなければならないのですが……。

質問したからには答えを聞き切るべき

――記者会見には細かいルールもありそうですね。

望月 自分の質問が続くときでも、必ず発言の最初には「東京の望月です」って名乗らなければなりません。つい質問をどんどんしたくて、名乗るのを忘れてしまうこともあるのですが……。

――そういえば、望月さんは質問するときに「菅さん」って呼ぶときがありますよね。他の記者は長官とか、菅長官とか呼びかけている気がしますが。

望月 たまに気持ちが先に行ってしまって、そうなってるときがあるかもしれません。ルールがあるわけじゃないと思いますが、確かに官僚の方には驚かれましたね。あの世界は必ず役職で呼ぶから。辞めた人でも総理経験者だったら「総理」と呼ぶのが文化なんだそうです。

――例えば6月8日の午前中の会見では、37分中じつに25回近くの質問をぶつけていましたよね。一人何問まで、みたいなルールは特にないんですか。

望月 なるべく多くの社に機会を与えるのは原則だと思いますが、本来、質問したからには答えを聞き切らなければならないはずだと思うんです。あの時は「同趣旨の質問を繰り返すのはやめてください」と広報官に注意されましたが、「きちんとした回答をいただけていないと思うので、繰り返し聞いています」と申し上げました。「菅話法」のままでは何も答えが出てこない。だから、手を変え品を変え、いろいろな角度で聞くことを心がけています。

――その辺り、もっと詳しく聞かせてください。

#2につづく)

 

もちづき・いそこ/1975年東京都生まれ。東京新聞社会部記者。慶應義塾大学法学部卒業後、東京・中日新聞に入社。千葉・横浜・埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。著書に防衛省取材をもとにした『武器輸出と日本企業』(角川新書)、『武器輸出大国ニッポンでいいのか』(共著・あけび書房)などがある。 

写真=橋本篤/文藝春秋

武器輸出と日本企業 (角川新書)

望月 衣塑子(著)

KADOKAWA
2016年7月10日 発売

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