芸能界はしばしば「真実の口」枠を重宝します。相手が大物であっても、社会風潮的に言いづらいことでも、ズバッと言ってくれる、視聴率稼いでくれる「口」。昨今そこに当てこまれ続けているのが「ギャル」です。インターネットと同じですよ。マックでたむろするギャルに「世界の誰もたどり着けない真理」を背負わせてきたじゃないですか。
電車でぐずる赤ん坊、うろたえる母親を周囲の冷たい視線から救ってくれるのも「泣くのが仕事わら働きものの赤ちゃんウケるわら」とのたまうギャル。学歴や知識ではなく、「本能」で物事の本質をズバり言い当ててくれる存在があると無責任に信じたい。世間が混沌としていればしているほど、その神通力は威力を発揮するのです。
見た目の奇抜さから疎まれたり、ちょっと社会的な発言をすればやたら持ち上げられたりして、ギャル的なものはいつしか芸能界「真実の口」枠にすっぽりとおさまるようになりました。「チャラ男やギャルみたいなちょっと前まで叩かれてた存在が、今はそれを叩くのが痛い風潮になってるから最強になってる」とは兼近さんの過去のインタビューの弁。世間からの追い風をしっかと心得つつ、ヒーローとしてチャラヘッチャラ街道を驀進していった兼近さん。
話題になった「#検察庁法改正案に抗議します」をめぐる発言
そんな「真実の口」を遺憾なく発揮したのが、去年大きなニュースとなった#検察庁法改正案に抗議します、の時。フジテレビ系『ワイドナショー』(2020年5月17日放送)にコメンテーターとして出演した兼近さんはこう発言したのです。
「だいぶむずいんですけど、勉強しないと参加したらいけないっていうのが政治っていうわけじゃなくて、誰でも発言する批判することって自由だと思うんですよね。それを大人たちが都合悪いから、若者は参加するだけで叩かれたりとか。芸能人なんて特に影響力あるから言わないでくださいとか言われるんですけど、そんなの影響力を持ったのは自分で持ったもので(発言ママ)、自分の思うことを発言するのは本当に自由だと思うので」
「俺が一番残念なのはこれできゃりーぱみゅぱみゅさんがツイートして、それを叩かれてそれを見た若者たちが『あ、やっぱり政治に参加したらこういう嫌な思いするんだな』『大人からこういうこと言われるんだな』っていうので衰退していくのが、一番なんかダルいっすね」