今回の衆院選すったもんだについて、私はずっと前原誠司さんを推してるんですよ。この人が腹をくくらなかったら、ずっとぐずぐずと改憲と護憲で党内闘争を繰り広げるという私達のよく知るダメな民進党のままであったでしょう。これから人口減少に入り日本がより良くなるためにいままでの右肩上がりのやり方や制度、考え方、思想ではダメであって、乾坤一擲、いろんなものをかなぐり捨てて前に進むために一石を投じることの大事さというのがあったと思います。

今年の民進党代表選で ©杉山秀樹/文藝春秋

行く手に罠があったら罠ごと前に進んでやるぞ

 だからこそ、自民党からの政権交代を旗印に、議員の頭数だけ考えたらやらなくてもいい小池百合子女史との大同合併を画策し、全員来たい奴は来いと民進党両院議員総会でぶち上げて、満場一致で小池希望の党への合流を決定する。凄い。もうこの時点で歴史に名前が残るぐらいの偉業を前原誠司さんはやってくれました。渾身の捨て身だし、決断の重さも含めて、行く手に罠があったら罠ごと前に進んでやるぞぐらいの勢いでやりきったのは本当に凄いことだと思います。私を含め、凡人だったらストレスで死ぬ。

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 で、先のことは全く分かりません。何しろ、前例がない話ですから。私も曲がりなりにも調査とかデータ解析の実務とかやらせていただくこともあるわけですけれども、そもそも公示前の調査で項目ごと100議席単位の政党ができたりなくなったりすることって無かったんですよね。日本維新の会だって、橋下徹さんが石原慎太郎さんと野合するという話から具体的に何かことが動き始めるまでそれなりに準備期間もあったし、受け入れる国民的な心の準備もあった。ああ、大阪という地域から全国政党になりたいのだなあというベクトルの中で、石原慎太郎さんに縁の深いクセのある議員が変な暗躍をしてグズグズになるまでの間に、いろんな人がさじを投げたり、期待したり失望したりを繰り返していましたから。