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プチ鹿島
2017/11/10

容疑者の過去よりも知りたいこと 「座間9人遺体事件」を読み比べる 

「ネットの闇」とお約束を書くよりも大切なこと

 神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件。

 やはりと言うべきか、容疑者の人物像や過去がたくさん報道されていた。

 私は容疑者の価値観や世界観(主義・主張)を知りたいとは思わない。それよりも読みたいのは被害にあった人の状況だ。

悪意からどう身を守れるか。日刊スポーツの良記事

 今後、同じような立場の人(自殺願望がある人、もしくはそれほど追いつめられて弱っている人)が犯罪に巻き込まれないようにするにはどうすればいいのか。「自殺願望のある人が、悪意ある人に狙われる現実」「弱者を狙う側からどうすれば守れるか」などの記事こそ読みたいと思った。

 そういう意味で日刊スポーツの「自殺願望なぜ誘い出される?/座間事件・専門家の目」(11月3日)はじっくり読んだ。ネットの自殺サイト関連の取材を続けるフリーライター・渋井哲也氏の談話だ。

《ネット上に「自殺したい」と書き込む人と、「#自殺募集」と仲間を探す人では、置かれた立場が違うことが多いという。「『自殺したい』は、現実世界に相談できる相手がいる人も書き込む。『募集』の人は、現実に相談相手がいない人が多い」。》

《弱っている側は共感してくれる相手なら現実に会うことへのハードルが低くなる》

 という2点。

 この前提を知ると、いかに悪意をもった人物が立場の弱い人にやすやすと近づけるかがよくわかる。

 これは他人ごとではない。

事件のあったアパート前 ©時事通信社