最愛の妹を差し出すなど、ありえない――。そう思いながらも、姉はレイプ犯の夫に逆らえなかった。支配と恐怖のなかで下した「最悪の選択」とは……。文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/続きを読む

妹のタミーを差し出したカーラ ©getty

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妹を抱かせるなんてありえない。でも…

 カーラの衝撃は大きかった。タミーは幼いころから可愛がっている大切な妹。そんな彼女をポールに抱かせるなどありえない。しかし、当時のカーラは完全にポールに依存しており、1日の大半を彼の機嫌を取るために費やす、言わば奴隷と主人のような関係に陥っていた。さらには、数ヶ月前からポールが自分に女性としての興味を失っていることも不安だった。

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 ポールに捨てられたくない。ポールの心を繋ぎ止めておくには、彼の命令に従うよりない。正常な判断能力を失っていたカーラは戸惑いながらも、踏み越えてはいけない一線を越える覚悟を固める。ちなみに、このころ、ポールは勤務していた会計事務所を辞め、アメリカからの酒や煙草の密輸で生計を立てていた。

 同年12月24日、当時15歳のタミーは今晩自宅で行われるクリスマスパーティーを楽しみにしていた。社交的で美貌も兼ね備えた彼女はこの日、学校が終わると母親へのプレゼントを買い帰宅する。ほどなく、ポールが訪問しパーティーが始まり、一段落したところで、カーラがポールとタミーを誘い、3人で地下室で映画を観始めた。

 ここで、カーラはタミーの飲み物に薬物を混入する。せめて眠っている間にポールに抱かれてほしいと、事前にバイト先の動物病院から鎮静剤と麻酔薬を調達したのはカーラの発案だった。