「強姦だと思っていなかった」――。

 40人近い女性を毒牙にかけた男は、法廷でそう言い放った。自殺未遂に追い込まれた被害者もいたにもかかわらず、罪を否認し続けたペテン師。その驚くべき主張と、裁判長の問いに対する“戦慄の答え”とは。

 平成19年の凶悪事件、その結末に迫る。なお登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む

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写真はイメージ ©getty

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 宮本は自分のバッグから大人のおもちゃを取り出し、性体験がなかった恵さんはそれを見てギョッとなったが、タレントに会いたいがためにガマンした。

「じゃあ、今から使ってやるから、カメラ目線で『私に入れて』って言えよ!」

 言う通りにすると、男が侵入してきた。初めての相手が冴えない中年男であることに一抹の後悔を感じたが、「これさえクリアすれば、人気タレントたちに会えるんだ……」と自分に言い聞かせた。恵さんは約3時間にわたり、性の玩具にされた。

 だが、コトが終わると、宮本は「帰りのタクシー代」と言って2000円を差し出した挙げ句、非情な言葉を浴びせてきた。

「下手なマネはするなよ」

「お前の個人情報はすべて分かってるんだ。ペラペラと住所も名前も電話番号も書き込みやがって。下手なマネはするなよ。オレの仲間はいくらでもいるんだからな!」

 解放された恵さんは何が何だかワケが分からなくなってきた。これは現実だろうか。騙されているだけだろうか。だとしたら、あの男に裸のビデオを撮られただけなんじゃないか。考えれば考えるほど悔しさがこみ上げてきた恵さんは、実家とは別の場所に住んでいる姉に電話をかけ、今日あったことを洗いざらい話した。

「それは犯罪よ。すぐに病院へ行きなさい。お母さんには私から話しとくから。それで警察に行って、全部話すのよ!」

 事情を聞いた警察は、強姦事件とみて捜査に着手した。その後、同じように声をかけられ、ホテルに連れ込まれた別の被害者2人からも被害届を受けた。

 現場の繁華街をパトロールしていたところ、同じ手口で女性に声をかけている宮本を発見。任意同行を求めて追及したところ、容疑を認めたので逮捕した。

 ところが、宮本は堂々と「強姦罪の成立」を否定。その理由を次のように述べた。