実際、ゴールデンタイムやプライムタイムといった時間帯でも高齢者向けの健康番組やグルメ番組が減り、『有吉の壁』や『千鳥のクセがスゴいネタGP』など、若者向けのお笑い番組が増えた。お笑いファンにとっては願ってもない状況が訪れている。
そして「第6世代の逆襲」が始まった
そうやってお笑い番組が増えていく中で、それぞれの番組で芸人たちの実力がより厳しく評価されるようになった。そこで競争を勝ち抜いて面白いと認められた芸人の多くは、経験が豊富で技術がある第6世代の芸人たちだった。
ブームの全盛期には、第7世代の芸人がたくさん出ている番組もあったが、そのほとんどは長続きしなかった。現時点で第7世代を積極的に起用している番組というと、フジテレビの『新しいカギ』ぐらいだ。ここでもレギュラー陣のうち、霜降り明星、ハナコ、丸山礼は第7世代だが、チョコレートプラネットは第6世代にあたる。
そもそも、若い視聴者は自分と同じ世代の芸人が出ているからといって、その番組を見るとは限らない。あくまでも面白いと思うから見るだけだ。
テレビ局の側も、徐々にそのことに気付き、若者にもその上の世代にも刺さる面白い芸人を優先的に起用するようになった。そこに該当する芸人には第6世代が多かったため、「第6世代の逆襲」と呼べるような事態が起こっている。
“狭間の世代”が味わってきた苦難
第6世代の芸人は「狭間の世代」にあたる。彼らが子供の頃に見てきた『ダウンタウンのごっつええ感じ』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ!!』などのバラエティ番組は、まだまだ荒削りで過激なものが多かった。そこでは上の世代の芸人が元気に暴れ回っていた。
ところが、いざ彼らがお笑い界に入ってみると、コンプライアンスが厳しくなっていて、過激なことができなくなっていた。しかも、テレビは高齢者をターゲットにするようになっていて、なかなかお笑い志向の強い番組を作ることはできなくなっていた。
明石家さんまやダウンタウンなどの上の世代の芸人も現役でバラエティの世界に君臨していて、そこに追いつくことも難しい。そんな中で第6世代の芸人は受難の日々を過ごしていた。
2~3年前にようやく時代の風向きが変わったと思ったら、今度は下の世代にあたる第7世代のブームが来た。第6世代はまたしても時代の波に乗りそこねていた。