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「これはまずいのではないか…」従業員たちも感じた「サン宝石」の“経営難” 再建に向けクラウドファンディングも

「サン宝石」専務取締役 渡邊駿氏インタビュー#2

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愛される会社だということを再認識

――今後は、事業継続に向けてスポンサーの支援を受けて再生を目指すそうですね。

渡邊 そうですね。民事再生の申し立て以前から計画を立てておりました。やはり自力再生は難しいだろうと。民事再生を申し立てることで、そのアナウンス効果でスポンサー様が現れていただけるのではないだろうかというふうに考えております。

――現在、手を挙げているスポンサーはいるのでしょうか。

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渡邊 候補となっていただけるような企業様には手を挙げていただいております。その企業様と“どんなシナジーが産めるのか”や弊社の内情というところをしっかり見定めていただいているという状況でございます。現在進行形ですね。

――現在の社内の雰囲気はいかがですか。

渡邊 (民事再生法の適用を申請した)その翌週月曜日にですね、お客様から応援の声がたくさん届きまして。従業員もそういったコメントをECサイトで確認をしております。非常にありがたいという気持ちと、弊社がこれだけ愛される会社だということが、この民事再生を申し立てることによって再認識する機会となりました。この会社を継続させることに関しては、従業員の皆様にも協力していただいて、一丸となって進めているところです。

ほっぺちゃんグッズ ©文藝春秋(撮影・宮崎慎之輔)

クラウドファンディングのお話はお客様から

――お客様からは具体的にどんなメッセージが届いたのでしょうか。

渡邊「会社がなくなって欲しくない」というメッセージや「商品をたくさん買おう」といった購買運動みたいことを言っていただくお客様が多くて。「セール価格ではなくて、定価販売してくれ」というような、本当にありがたいお言葉をたくさん頂戴しております。

 他にも、クラウドファンディングのお話をお客様からいただきまして。あるお客様が、「クラウドファンディングを私がするから、集まった資金をサン宝石に送ってもいいでしょうか」という、本当に熱心なファンの方がいらっしゃいまして。「そこまでしていただかなくて結構です」というふうに、そこはお断りをさせていただいたんですけれども。そういった何か行動を起こしたいという、お客様もいらっしゃいました。

――お客さんからクラウドファンディングの提案があったんですね。

渡邊 一番初めはそうです。民事再生のなかで、クラウドファンディングを実際にした企業様は他にないそうなんですけれども、それでも(サン宝石を)たくさん愛してくれるファンがいる企業ではございますので、クラウドファンディングで資金を募ってもいいのではないかと。それで実際にクラウドファンディングを10月6日からスタートしました。

――クラウドファンディングで集まったお金は何に充てる予定でしょうか。

渡邊 弊社の現状の資金繰りのなかでも、発行するカタログの発送に結構大きな費用がかかっています。その発送費用にクラウドファンディングで集めたお金を充てたいと思っております。ぜひとも資金が集まってくれればと願っております。

――クラウドファンディングでは10月13日時点で、目標金額300万のところ、1779人から約780万円ものお金が集まっていますが、現在の心境はいかがですか。

渡邊 非常にありがたい気持ちでいっぱいです。高額なリワード(特典)を選んで支援してくださるファンの方もおり、改めてお客様の弊社への大きな愛を感じております。同時にお客様のお気持ちを裏切ることなく、何としても事業を継続しなければならないと責任も感じております。再建して事業を継続させることで、今回支援していただいた多くのお客様に恩返しをしていきたいと考えております。