Q 北朝鮮軍兵士の亡命、朝鮮半島の緊張関係に影響は?
11月13日に朝鮮人民軍の兵士1人が、南北の国境線から韓国側へ亡命。その過程で、北朝鮮側から銃撃を受けた兵士は重傷を負い、2度受けた手術では体内から寄生虫が発見されるなど、ショッキングな報道が続きました。この一件は韓国・北朝鮮の緊張関係にどんな影響をもたらすでしょうか。(50代・女性・会社員)
A 韓国では、それほど大きな扱いではありませんでした。
この直後に私は韓国に別の件の取材で入りました。日本では大きく扱われたニュースですが、韓国では、それほど大きな扱いではありませんでした。論調としては、北朝鮮側が亡命しようとした兵士に対して銃撃したのに、なぜ韓国側は北朝鮮に対して発砲しなかったのかと追及するメディアや、銃撃されて倒れた北朝鮮軍兵士の発見が遅れたことへの責任論などが目についたくらいです。
というのも、北朝鮮の兵士が韓国に亡命することは、よくあることだからです。韓国では、すっかり慣れっこになっていて、「ああ、またか」という受け止め方が多かったのです。
ただし、板門店の共同警備区域に配備された北朝鮮軍兵士は、志操堅固な人物が選ばれ、好待遇を受けていますから、「そんな立場の兵士ですら亡命するのか」という反応はありました。
しかし、手術をしたら、寄生虫がいたり、胃に消化されていないトウモロコシがあったりと、いい待遇を受けていたわけではないようなので、ひょっとすると、板門店を警備するエリート部隊ではないのかも知れません。
ちなみにトウモロコシと聞くと、私たちは日本のおいしい種類を想像しますが、北朝鮮のものは種類が違います。むしろ飼料用のような硬くてまずいものなのです。だから未消化だったのでしょう。
この亡命について北朝鮮は、全くコメントしていません。北朝鮮にとって恥ですからね。何の反応もしていないということは、朝鮮半島の緊張関係にはつながらない、ということです。
「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!