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近藤 正高
2017/11/27

ご存知ですか? 11月27日は6年前のゆるキャラグランプリで「くまモン」が優勝した日です

“おまけ”でつくられた?――くまモン誕生の舞台裏

 いまから6年前のきょう、2011(平成23)年11月27日、埼玉県羽生市で開催された「ゆるキャラさみっとin羽生」(主催はゆるキャラさみっと協会)で「ゆるキャラグランプリ2011」が発表され、熊本県のくまモンが1位を獲得した。

 くまモンの誕生はその前年の2010年3月。このころ、翌11年に予定されていた九州新幹線の全線開業にあたり、いかにして熊本に人を呼び込むか、熊本県と市民団体が組織する「新幹線元年委員会」によって検討が進められていた。同委員会には結成まもない09年7月より熊本出身の放送作家・小山薫堂が参加、さまざまなプロジェクトを展開するにあたり「くまもとサプライズ」というスローガンを打ち出す。くまモンは、この「くまもとサプライズ」のロゴをクリエイティブディレクターの水野学(グッドデザインカンパニー)に依頼したところ、ロゴの“おまけ”として一緒につくられたものだった。

新幹線開通前に熊本をPRするくまモンと蒲島郁夫知事 ©共同通信社

 いわば偶然の産物だったくまモンだが、新幹線元年委員会と県職員のあいだではこれを活用しようという動きが出てくる。まずは熊本県内の各所をまわりながら知名度を上げていき、頃合いを見計らって関西へPR活動に赴く。同時期には蒲島郁夫県知事より「くまもとサプライズ特命全権大使」に任命され、1万枚の名刺を配り続ける任務を課せられた。約3ヵ月後には名刺を配り終え、くまモンの知名度・人気度は急上昇する。2010年度の関西地域におけるPR効果は、広告費用換算で約6億4000万円にも上ったという(『Pen』2013年9月1日号)。

 こうして迎えた九州新幹線の全線開業。だがその日は2011年3月12日と、東日本大震災発生の翌日であった。くまモンは予定されていたセレモニーには出席せず、その後は募金活動や被災地訪問をはじめ、子供たちを元気づけることに専念する。ゆるキャラグランプリでの優勝は、そうした貢献を認められてのものでもあったはずだ。

 同じく2011年には「熊本県営業部長」に昇進、以後もほかの地域をまわりながら熊本県をPRしていた。が、昨年4月14日に熊本地震が起きてからは、地元の人々を励ます役割を担うようになる。やがて徐々に復興が進むなか、現在は熊本を支援してくれた御礼にと、再び各地を行脚する日々を送っている。

ご存知ですか? トマト生産量の全国1位は熊本県です ©石川啓次/文藝春秋