時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人・プチ鹿島氏が、日本政治の忘れられないできごとを徹底記録した著書『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集』(文藝春秋)を上梓した。

 本書は、文春オンラインに掲載した同氏のコラムを中心に構成されている。そこで本書収録の中から、読者の反響が大きかったものを再公開する。(全2回の1回目/#2を読む)

(初出2021年7月27日。年齢、日付、肩書きなどは掲載当時のまま)

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小池百合子の“口利き”演出

 東京五輪開会式の当日、こちらの記事が話題を集めていた。

『五輪の闇 想像以上』(東京新聞7月23日)

 オーバーだなぁ。五輪の闇? 開会式で制作を担当した組織委員会関係者が取材を受けた? どれどれ。

「東京新聞」7月23日朝刊の紙面

 

《現場で1つの演目のストーリーと出演者を固めた後、組織委や都の有力な関係者やJOC(日本オリンピック委員会)サイドから、唐突に有名人などの出演依頼が下りてくる。部内では有力者ごとに「○○案件」とささやかれた。》(同)

 つまりエライ人たちから「○○を開会式に使え」という現場介入が多かったという。すいません、やっぱり「五輪の闇」でした。政治利用の祭典でした。

 この件に関しては「週刊文春」が4月8日号で『森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト”』として既にすっぱ抜いていた。

 たとえば小池百合子都知事が「火消しと木遣りを演出に入れて。絶対よ」と組織委側に要望を伝えていたという。

 火消し団体の総元締めである「江戸消防記念会」はもともと自民系の団体だったが、2016年の都知事選で江戸消防会の一支部が小池を支援した。小池氏からすればこのときの「恩返し」であると。これが約4カ月前の記事だ。

 すると開会式では「火消しと木遣り」があったではないか。ほかでは森喜朗案件として市川海老蔵の名があり、文春はこちらも的中。政治利用の答え合わせがたまらなかった。