昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

平井卓也の弟が社長「四国新聞」が紙面を“私物化” 取材せず批判記事を書く理由を本社の記者に尋ねてみると…?〈香川1区ルポ〉

プチ鹿島『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集』から傑作選 #2

2022/03/09

source : 週刊文春出版部

genre : ニュース, 社会, 政治, メディア

 時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人・プチ鹿島氏が、日本政治の忘れられないできごとを徹底記録した著書『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした! プチ鹿島政治コラム集』(文藝春秋)を上梓した。

 本書は、文春オンラインに掲載した同氏のコラムを中心に構成されている。そこで本書収録の中から、読者の反響が大きかったものを再公開する。(全2回の2回目/#1を読む)

(初出2021年11月9日。年齢、日付、肩書きなどは掲載当時のまま)

◆◆◆

隙あらば刺してやろうという感じ

 衆議院選の注目区だった香川1区。現地で何が起きているのか知るために、ラッパーのダースレイダーと潜入してきました。

 今回、私が香川まで行った理由には「四国新聞の記者さんにお会いできるのではないか?」というひそかな楽しみもあったのです。直接話を聞いてみたかった。どうしたらああいう素敵な記事を次々に書けるのか、と。

香川1区に潜入。ラコステのTシャツを着ているのが筆者 ©プチ鹿島

 四国新聞は香川1区の平井卓也氏(自民党)の弟が社長で母親が社主を務める。そんな四国新聞は紙面で平井推しを隠さないのである。ピュアなのかメディアとしての自覚がないのか。最高だったのは毎日新聞WEBが『平井デジタル相が出席の会議、音声データ保存せず 私文書扱いに』というスクープを出したら四国新聞は「報じなかった」。すごい。

 平井氏のライバルである小川淳也氏(立憲民主党)に対しては隙あらば刺してやろうと狙っている感じ。最近では選挙前の10月12日の記事が度肝を抜いた。2面に大きく『維新新人に出馬断念迫る 香川1区、立民・小川氏』(四国新聞10月12日)と報じた。

 香川1区は平井氏と小川氏による一騎打ちとみられていたが、新人の町川順子氏が維新の公認候補に決まった。そのあと小川氏が出馬断念を迫ったという。

町川順子氏に出馬断念を迫った小川淳也氏(右) ©プチ鹿島

《町川氏によると、公認発表後、小川氏本人から電話があり「出られたら困る」などと言われたという。小川氏は町川氏の実家の家族のところまで訪れ、出馬断念を求めた。》(同)

 これ、もっと真相が知りたい。ところが不思議なのは四国新聞は記事の主役である小川氏のコメントをまったく載せていないのだ。小川氏本人に取材しないままデカデカと載せていた。すごい。

 では他社はどうか。この件を報じた毎日新聞WEBは、

《小川氏は取材に対し「野党が一本化を目指すのは当然で、できなければ立候補の自由がある」と説明した。》(10月13日)

 最初のほうで小川氏のコメントを載せていた。小川氏の行動は疑問を呼び注目だったから取材するのは当然だろう。各々の見解を載せるのは読者に考える材料を与えることでもある。