いざ、本社を訪問
会社に来てくださいと言われたので翌日すぐに四国新聞に行った。しばらく受付で待っていると年配男性2人が1階のロビーに来た。総務の人だという。
「今、出払っていますので」
では政治部のほかの人でもと言ってみたが、みな出払っていて答えられないという。そしてキラーフレーズが出た。
「FAXで質問してください」
ふぁ、FAX!?
出直してFAXで質問をしてほしいとのこと。今、本社の1階に来ているのに。
デジタル大好き四国新聞はデジタル庁発足の翌日の紙面ではこう書いていた。「生活利便性向上に期待」(9月2日)。
社長のお兄ちゃん(平井初代デジタル大臣)のインタビューでは「国民目線で改革」「透明、公正、迅速に」(同)と見出しを打っていた。迅速とか利便性という文字が今となっては眩しい。
仕方がないのでホテルに戻って質問状を書くことに。その前に昼食をとろうと四国新聞社近くのうどん屋に入ったら、背広を着た人たちがセルフでうどんを湯がきながらこちらを厳しい目でチラチラ見ている。もしかして「出払っている」ってうどん屋のこと?
今回、香川1区の旅をした私たち(プチ鹿島とラッパーのダースレイダー)による質問状の回答期限は3日後の「18時」にした。これだけ日にちがあれば十分だろう。
しかし1日、2日と何の音沙汰もない。そして期限当日。なんと回答FAXが「17時59分」に来た。「18時前ギリギリに送ってやれ」という自意識が見えすぎて素敵だった。
注目のFAXには、
『ご回答 今回の取材方法について、当社としては問題はなかったと考えています。四国新聞社広報室』
と、書かれていた。
私は新聞社が「取材していないで書く」のが問題だと思ったのだが、むしろ「取材方法」という言葉を使っていた。つまり四国新聞にとって取材しないで書くのが「取材方法」と言っているように読める。選挙前の特定の政治家に対しても。
私は新聞は偏っていて当たり前だと思っている。だからこそ論調の違いを読み比べするのが楽しい。しかし新聞社の経営者一族から選挙に出て、その政治家を紙面でずっと推していたら話は別だ。ライバル候補に取材しないで一方的に情報を垂れ流していたら話は別だ。それは紙面の「偏り」ではなく「私物化」である。