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「なんとか自分の人生を変えたい」ガムシャラな22歳、巨人・増田陸に肩入れしてしまう理由

文春野球コラム ペナントレース2022

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2018年ドラフトが「神ドラフト」になる日

 思えば増田選手が入団した2018年ドラフトでの巨人の指名は、賛否両論に分かれました。ドラフト1位で八戸学院大の高橋優貴投手を指名した以外は、育成選手を含め9人全員が高校生。1位の高橋投手にしても粗削りという評判が立っていましたし、巨人らしからぬ育成方向に振り切ったドラフトでした。

 今となっては高橋投手と6位で戸郷翔征投手が獲れただけで十分元が取れた感がありますが、同年に2位指名されたのが増田選手でした。

 入団当時の増田選手のスカウト評といえば「走攻守三拍子揃った、パンチ力のあるバッティングのできる選手」と、若干テンプレ感が漂うそれでした。2位という指名順位の高さがあるものの、選手としてのキャラクターを僕は感じ取ることができませんでした。

 今日現在の増田選手といえば、その情熱的なプレースタイルに加え華のある場面での勝負強さが際立つ「魅せる男」といえるのではないでしょうか。育成降格という泥臭い経験から東京ドームのお立ち台まで、弱冠22歳にして味わった幅広い経験値は魅力ある個性につながっていると思うのです。

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 不思議なもので、プロ野球はチーム内の同学年の選手が次々に活躍する現象が起きます。巨人で言えば、高橋由伸さん、上原浩治さん、高橋尚成さんなど全員同学年でした。戸郷投手の学年も増田選手が続くことで、直江大輔投手、横川凱投手といった有望株が続いてくれるのでは……と期待がふくらみます。

芸能の世界もタイミングがすべて

 前にも述べた通り、巨人のファーストには豪華な人材がひしめいています。今は好調でも、少しでも状態が落ちれば増田選手の出場機会は減ってしまうかもしれません。それでも、増田選手のように気持ちが表に出る選手は、これから巨人が巻き返すために必要ではないでしょうか。

 仮に今年レギュラーに定着できなくても来年もある。そんな考え方もあるでしょう。でも、毎年好選手が次々にやってくる巨人では、チャンスなどそうそうやってきません。増田選手には、せっかくの巡り合わせをなんとかものにしてほしいのです。

 芸能の世界も「タイミングがすべてだ」とつくづく感じます。わたくしごとながら、純烈という歌謡コーラスグループも芽の出ない長い時期を経て、チャンスをいただきました。スーパー銭湯でのライブが満員になるようになり、1~2年したタイミングでテレビ番組が取材に来てくれました。

 満員の会場でぐつぐつと煮えたぎったファンのみなさんの様子がオンエアで流れ、「なにこれ!」と次から次へと純烈に興味を持ってくださる人が増えていきました。満員になったスーパー銭湯が1~2年の時を経たことで、ファンのみなさんと我々の熱量が一番面白い映像としてハマった最高のタイミングだったのだと思います。

 これから増田選手が全身全霊をかけてチャンスをつかむのか、それとも……。22歳の野球人生を僕も全力で応援したいと思います。

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