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「都市で餓死することはまずない」野食ハンター・茸本朗のハンティングに同行してわかった「多摩川の河川敷=食料庫」という衝撃事実

「都市で餓死することはまずない」野食ハンター・茸本朗のハンティングに同行してわかった「多摩川の河川敷=食料庫」という衝撃事実

野食家・茸本朗とは何者か? #2

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――といっても、一体どれをどのように食べるのか。フルーツ以外はなかなか見分けが難しそうで……。

茸本 植物からご紹介していきましょう。一般的に「オーツ麦」と言われるのが、このカラスムギ。穀物飼料に混ざって日本に入り、広まってしまったと言われています。

「オーツ麦」の名で知られるカラスムギ
「オートミール」や「オーツミルク」の原料でもある

 加工すると、いわゆるオートミールになるヤツです。最近では、オーツ麦と水から作られるオーツミルクとかも流行っていますよね。作業は正直厄介ですが、今の時期に大量に摘み、脱穀すると食べられます。僕は大量に集めてすり鉢で脱穀していましたが、ミキサーでもできるみたいですね。オーツ麦は買うとそこそこ高いですが、自分で作ると人件費がもっとかかる!

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ジャムやコンポートにできる食材も

――前向きにとらえれば、それもまた野食の魅力かも……。木の実はどうでしょう?

茸本 多摩川の河川敷にはオニグルミがたくさん生えているので、今の季節でしたら(※6月初旬)青い状態の実がいいですね。ジャムやコンポートにする人もいます。

茸本さん自家製のオニグルミのジャム

 表皮をはいで砂糖とシェリー酒で煮ると汁も実も真っ黒けになり、ほんのりヤニ臭いような……。でも、内部の未熟な胚はナッツの風味があり、サクサクとした歯ごたえで結構ハマります。

 ネギ系が欲しいときは、ノビル。黒いツブツブが集まっているのが、ノビルの実です。可食部は、球根や若葉で、ネギソースみたいに使うとおいしいですよ。

ノビル

 葉物には、明治期に日本に入ってきた外来種であるシャクチリソバ。健康茶の原料としてよく知られるダッタンソバの近縁種で、若い芽を食べることができます。

シャクチリソバ

 味は……ものすごく酸っぱい! だから料理が難しくはじめは苦戦しましたが、塩漬けにするとおいしく食べることができました。