新ドラマ『きみが心に棲みついた』でドラマ初主演を務める女優・吉岡里帆さん。お笑いからドキュメンタリーまで、生粋のテレビっ子・吉岡さんに、てれびのスキマさんが聞くインタビュー後編は自ら語る女優論、大事にしている志村けんの言葉について――。(全3回 #1,#2より続く)

吉岡里帆さん

満島ひかりさんのおかげで、私は自然と“悪人”になれた

―― 昨年、2017年には「ブレイク女優ランキング」1位に輝くなど、本当に大活躍ですが、女優として自分の中で転機になったお仕事は何ですか?

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吉岡 2015年の『あさが来た』だと思います。役名で話しかけてもらえるようになりましたから。色んな世代の人に見てもらえたというのも大きくて、ファンレターはおばあちゃんからも小学生の子からも届きました。すっごい嬉しかったです。あと、福田雄一監督の『明烏』という映画が転機になっていますね。

―― 福田さんはどういう演出をされるんですか。

吉岡 福田さんは本当面白くて。オーディションから面白かったんですけど、もうその場で「君にしたから」って言ってくれて。えっ? みたいな。

―― あはは。

吉岡 本当に無名だった私を選んでくださったんですけど、「お前はとにかく中途半端にブスだし、中途半端な年齢だし、色々中途半端だから、死ぬ気で芝居しろ」「それでしかもう目に止まんない」って言われて(笑)。「普通じゃだめ。人より何倍も何倍も努力する。人より何倍も何倍も恥をかき捨てることが必要だね」って、初日に言われたんですよ。それで、あぁ自分って何においても中途半端なんだって。その時に教えられたおかげで、振り切って毎回挑むっていうのをずっと変わらず徹底するようにしています。まぁ思い返してもキツい言葉でしたけどね、中途半端中途半端って(笑)。

初主演ドラマ『きみが心に棲みついた』の1シーン TBS系で1月16日スタート

―― 実際に女優になられた後、影響を受けた俳優さんはいらっしゃいますか?

吉岡 満島ひかりさんとは『カルテット』でご一緒しましたが、なんか本当に、肌で感じる空気がすごくて。役に没頭されてる感じで、その役そのものでそこに存在してらっしゃる感じでした。『カルテット』で私はすごく“悪役”をやったんですけど、満島さんの存在のおかげで、私は自然と悪人になれる感じがしました。満島さんの私に対しての怯え方だったり、目線のありかたによって、こちらも役に追い込んでいけるような思いを持ちました。

―― 『カルテット』も『ゆとりですがなにか』でもそうですけど、意地悪な人の役が多かったじゃないですか。自分のイメージと近いですか。

吉岡 いやいや、全然違います!(笑)。理解に苦しむ役どころですよ。やっぱりああいう、意地が悪い人をやる時は、相当台本を読んで、なぜそうなったのかを突き止めないと、素直にお芝居できないです。