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小野 一光
2018/01/15

なぜ「妊婦風俗嬢」はここ数年で急増したのか

数字上は好景気だが、実態は“見せかけの社会”ではないか

(「『妊婦風俗嬢』が私に語った本音と涙の理由」から続く)

「ダンナの稼ぎだけじゃやっていけない」

「前はね、うちで働こうっていう子はたいてい風俗経験があったんです。だけどここ2、3年かなあ、風俗未経験の子が面接にやって来るのが目立つようになりました。たいていが10代後半から20代前半の子です」

 そう語るのは、都内で営業する妊婦・母乳ママ専門風俗店の店長・A氏である。彼はその実態について説明する。

「面接のときに、そうした未経験の子の多くが、妊娠して普通の仕事に就けないということを口にしますね。あと、ダンナの稼ぎだけじゃやっていけないって。うちとしては理由はどうあれ、働いてくれればいいわけだから、システムと取り分を説明して、それに納得したらすぐに働いてもらってます。いざ働いてみて、やっぱり無理だって子はすぐに辞めちゃいますけど、そういう子よりも臨月まで働き通す子の方が多いですね」

 プレイ内容は本番行為を除いては、ほぼすべての性行為が含まれている。A氏によれば、以前は女性器への「指入れ禁止」など、細かくルールを定めている店もあったそうだが、最近は緩くなってきているという。

「妊婦さんといっても、店によってはけっこうハードなプレイをやってるところもあります。たとえば12時間のお泊りコースがあったりとか、AF(アナルファック)が可能というところまで……。そういう点では熟女・人妻系の風俗店と変わりません」

 いったいどんな客層なのか尋ねたところ、A氏は即答した。

「もう20代から70代までいろいろ。普通にそこらを歩いてるような人たちですよ。ただ、妊婦を指名する人はいつも妊婦しか指名しないし、母乳ママを指名する人はこれまた母乳ママしか指名しないんです」

 私自身はこれまでに妊婦風俗嬢を20人以上取材してきた。そのなかで彼女たちに客の傾向について訊いたところ、もっともよくあった答えが「ほかの風俗店の客と違い、どちらかといえば女の子の躰を大事に扱ってくれる人が多い」というものだった。なかには、「(性的な)プレイをしなくてもいいから、ただお腹を触らせて欲しいという人もいた」との答えもあった。その一方で、私に「夫の収入が少なくて、嫌々この仕事を始めた」と説明した妊娠7カ月という22歳の女の子などは、「乱暴に指を入れてくるし、本番を強要されて嫌な思いをした」と口にしている。つまり、どのような客に当たるかについては、とくに傾向があるわけではないようだ。

©iStock.cpm

夫からの反対はまったくなかった

 これまで、妊婦専門風俗店が、夫の所得が少ないうえ、妊娠によって仕事を失った女性たちの受け皿になっていることについて触れたが、それ以外の理由で働き始めた女性もいる。

 取材時に妊娠7カ月だった20歳のラム(仮名、以下同)は、以前はソープランドに勤めていたが、妊娠したことで退店を余儀なくされ、妊婦専門風俗店で働くようになったという。彼女は語る。

「ソープでの仕事はできなくなったけど、そこでの仕事の感覚を忘れたくなくて、やることにしたんです」

 ここで私が驚いたのは、そのような入店理由ではなく、彼女が続けた言葉だった。

「ダンナは警備会社に勤めてるんですけど、私のソープの仕事については知ってます」

 当然ながら、妊娠してからの現在の仕事についても夫は承知しているらしい。

「ダンナは普通に『今日、どうだった?』って聞いてきたりするので話すようにしています。じつはうちのダンナって性欲がなくて、逆に私は性欲がめちゃめちゃ強くて、前にも『俺ひとりじゃまかないきれない』って言われたことがあるんですよね。ソープで働いたのもそういうことが理由だったし……」

 妻の風俗勤めについて、夫からの反対はまったくなかったそうだ。そんなラムだが、とくに妊娠してから性欲に変化が現れたのだと明かす。

「つわりがあるときは性欲が落ちてましたけど、つわりが終わってからは性欲が上がって、前よりも強くなりました。だからいまの仕事もキホン、仕事って感覚でやってないんです。遊びに来てるって感じですね」

 私が現在の妊婦専門風俗店でいつまで働くつもりか尋ねたところ……。

「とりあえず、臨月手前くらいまでは働いちゃうと思います。それで出産から1カ月くらい休養して、それからまた元のソープに戻るつもりです」