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ヤクルトが壊滅的に弱くても、ファンクラブ会員が増え続ける理由

文春野球コラム ウィンターリーグ2017

2018/01/25
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「チーム成績不振の影響はない」

「スワローズクルーの一番のターニングポイントは15年度でした。この年に有料会員数は前年度比164%になりました。そして翌16年度にはさらに前年度比150%に増えました」

 ターニングポイントとなったのは15年。そう、チームが14年ぶりのセ・リーグ優勝に輝いた、真中満監督就任1年目のことだった。やはり、チームが強ければ会員数も増えるのだ。具体的な会員数は非公表ながら、チームが優勝した15年、その余波が残る16年。会員数は飛躍的に増加した。さらに、スワクルの最大の特徴は「入会継続率8割5分」という驚異的な数字にある。前出の担当者は言う。

「今年に関して言えばチーム成績不振の影響は、おかげさまでないです。本年度の会員募集はすでに始まっていますが、前年を上回るペースでご入会いただいています」

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 この言葉通り、すでに「マウンテンパーカー」や「バックパック」「メルトンキャップ」、あるいは「クルーキャップ」「サコッシュ」など、「プラチナ会員」「ゴールド会員」の選択アイテムの一部は予定数量に達したため受付を終了している。会員募集は現在も行われているものの、選択できる特典は限られているので、入会する際には注意が必要だ。

2018年のスワクル特典

 17年シーズン、ヤクルトは壊滅的に弱かった。それでも、FCの会員数は大幅に増加し、神宮球場の来場者数はアップした。チームは弱くても、お客は入る。チーム成績がいいにこしたことはない。それでも、チームの勝敗に依拠せずとも、お客を呼ぶことができる。それがスポーツビジネスの理想形でもある。そういう意味では、ヤクルトFC・スワクルは超優良組織であり、球団の営業努力はきちんと評価すべきであろう。

 チーム成績は12球団ワーストだったかもしれない。けれども、FCに関しては12球団有数の特典とサービスを誇るのがヤクルトなのだ。世界唯一の「12球団ファンクラブ評論家(R)」として、それは保証する。チームは最下位に沈んだけれど、FCは超一流だ。せめて、それだけは自慢してもいいではないか! そして、今年こそはチーム成績も、FCもともに球界有数の存在になり、ファンとして堂々と胸を張って誇ろうではないか!

 キャンプインが迫ってきた。来るべきシーズンの訪れに胸の高鳴りを抑えることができない。僕は仕事場に積み上げられた段ボールの山を見ながら、すでに沖縄・浦添キャンプを夢想している。届いたばかりのクルーユニフォームを着用し、肩からはサコッシュをぶら下げ、マウンテンパーカーに身を包みながら、オリオンビール片手に廣岡大志のバッティング練習を飽きるまで見続けるつもりだ。

 プロ野球を愛するすべてのご同輩よ、冬来たりなば春遠からじ。球春の訪れを楽しみに待とうではないか!

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