文春オンライン
「人手不足で救えない命がある」“経営破綻レベルの病床稼働率”に窮する東京女子医 OG教授の“決死の訴え”を鼻で笑った経営陣の“特殊な価値観”

「人手不足で救えない命がある」“経営破綻レベルの病床稼働率”に窮する東京女子医 OG教授の“決死の訴え”を鼻で笑った経営陣の“特殊な価値観”

東京女子医大の闇 #13

2023/02/01
note

特筆すべき実績が見当たらない岩本氏が、至誠会と女子医大のトップに就いた訳

 これまで、文春オンライン編集部と筆者は、混乱する女子医大の診療現場や、岩本氏を中心にした「疑惑のカネ」等について、本シリーズ「東京女子医大の闇」で報道してきた(#1から読む)。また、去年9月には女子医大の現役教授ら7人が、報道された「疑惑」や経営方針について、経営陣に「質問書」を提出していた。

 これを受けて経営陣は、学内説明会を開催(去年9月)し、10月と11月にも文書で説明を行っているが、「復活させるOGの会」は次のように言及している。

「現経営陣は、これらの報道で言及されている事項について誠実に説明する責任がありますが、これまで十分な説明はありません。(中略)報道が事実であれば、両法人が岩本絹子氏の個人的利益を図るために利用されている疑惑すらあります。

ADVERTISEMENT

 東京女子医大の理事長である岩本絹子氏が、至誠会の会長でもある以上、東京女子医大の現状を招いた責任の一端は、至誠会の経営陣を選出した我々至誠会員にあるともいえます」

 岩本絹子氏は、1973年に女子医大を卒業した後、女子医大病院に勤務したのは数年間のみで、1981年に葛西産婦人科(東京・江戸川区)を開業している。

 そのため、岩本氏は女子医大での診療や研究、教育などで、特筆すべき実績は見当たらない。だが、創立者・吉岡彌生の一族であることでOGの信用を得て、同窓会組織である至誠会の会長になった。そして、至誠会の圧倒的な影響力を利用するなどして、2019年に女子医大の理事長の座を得たのである。

岩本絹子氏(女子医大HPより)

 女子医大と至誠会のトップに就いた岩本氏は、反対意見を許さず、意に沿わない人間には、容赦なく降格人事や懲戒処分を行った、と関係者は証言する。

 こうした岩本氏の手法を「恐怖政治」と評する人もいるが、決して大袈裟ではない。筆者が取材した中には、理不尽な報復を受けて、精神的なダメージを負った人さえいたからだ。

 今回、岩本氏の支配体制に対して、敢然とNOを突きつけた「復活させるOGの会」には、賛同の署名が次々と寄せられているという。1月30日現在で、1000通を超えた、と同会はツイッターで公表した。

関連記事