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無い才能の、見切り方

駄目なことはすっぱり諦めて、良い中年になろう

2018/02/01

「しなくてもいいことをしない」ことが一番大事なんじゃないか

 したいことを、したいだけやればいい人生など送れないのだから、得意で好きなことに絞って生きていくしかないじゃない。歳をとってきたのだから、歳相応の生き方として、円熟するとはどういうことなのかを考えた結果、私はそういう「しなくてもいいことをしない」ことが一番大事なんじゃないかと考え至りました。昔は確かにしたいこと中心に人生を考え、もっといい人生を、素晴らしい成果を、と頑張ってきたけれど、ふと振り返ると若いころに思い込んでいた「これがきっと、良い人生に違いない」というのには、自分にない才能をフルに発揮できるならば、という注意書きがでっかく書いてあることに気づかずに持っていた夢だったのでしょうか。

 スヌーピーの名言でも「配られたカードで勝負するしかないのさ。それがどういう意味であれ」(You play with the cards you’re dealt …whatever that means)というのがあります。犬に言われたくねえよと思う反面、それが飼い犬に運命づけられた人生なら、確かに犬小屋のうえで寝ているしかないよなあとも思います。私たちの人生だって、いまさら取り返しのつかないことも、若いからこそできたこともたくさんある。そして、たとえ可能性が失われていく中年にあっても、実り多い時間を送ることはできるはずなのだ、と思ったとき、配られたカードでどういう可能性を追求するかは、むしろどの可能性を捨てるのかと表裏一体であることに気づくのです。

「ああ、世の中そんなものですよ」と言える人が幸せかどうかは分かりませんが、せめて自分の手の届く範囲はきちんと行き届いた、素晴らしい空間にしていくことが幸福への近道なのではないかと思います。たとえそれが、独りよがりの感情にすぎないのだとしても。

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