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2018/02/19

 初版から20年以上経ってもなお、新鮮な輝きを放つ真っ白な本に魅了された私は、当時勤務していたアスペクトの編集部で2000年に復刊を手がけることになった。

「質問」に向きあうことは自分自身、そして世界に向きあうことになる。絵画のようであり、音楽のようであり、詩のようであり、文学のようであり、なぞなぞのようであり、哲学のような本である。「問い」があると、人は「答え」を探したくなる。この本は一方通行ではない。私たちはたったひとつの答えを見つけようとしすぎている。もっと自由に想像力を働かせて世界を観よう、という思いがあった。

 2004年、丸の内で「コトバメッセ」というアートイベントが開催され、「質問」が街中にばらまかれた。そこでは、気に入った質問に自身の答えを記入して投稿するという企画も行われ、個性あふれる回答が集められた。

 

「空に字を書く方法を知っていますか」

――「鏡に文字を書いて空に映す」

 

「寂しさはどの方角からやってくるのでしょうか」

――「うれしさの方角からやってくるのです」

 

 十人十色の答えがあった。他人の答えを目にすると、視点が変わって、新たな世界が開けてくる。

 それから時は流れ、SNSの時代がやってきた。人は気軽に言葉を発信する場を持ち、否応なしに、顔も知らない他人の言葉を目にするようになった。目まぐるしいスピードで言葉が流れていく。言葉が氾濫している。そんな時代だからこそ、言葉と向きあって、考える時間が必要だと思った。1977年から41年目の2018年、『質問』は2度目の復刊を遂げた。

 電車で、家の中で、スマホを横に置いて、じっくりと質問と向きあう時間をつくってみて欲しい。

 田中未知氏はこう語る。

「未来永劫『質問の種子』を蒔けば、この世に生まれてくる人がいる限り『答えの萌芽』を期待出来ます。もちろん、ひとりの人が10の答えを発見することさえ可能ですもの。いつかは答えが地球を覆っているイメージです。

 あなたはその時、地球がどんな姿をしていると思いますか?

 あなたの人生も『たった1冊の本』から転機はもたらされる。この『質問』という本が、あなたの人生を変える、世界の見方を変えるきっかけになったら、とてもうれしく思います」

©安藤幹久/文藝春秋

 地球もあなたも変化し続ける。けれども質問は決して色あせない。ずっと本棚に置いて、時に見返してみてほしい本である。ページをめくりながら、あなたのその答えの萌芽を、少しずつ育ててみませんか?

質問

田中未知(著)

文藝春秋
2018年2月2日 発売

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