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こんなに売れる理工書は久しぶり 「物理の話」はなぜヒットした?

『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』(長澤光晴 著)――ベストセラー解剖

2018/02/12
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『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』(長澤光晴 著)
『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』(長澤光晴 著)

「水洗トイレが流れるのはどんなしくみ?」「LEDはどんなしくみで光るのか?」といった身近な疑問に、平易な文章で物理学的に答えた本が売れている。当初はコンビニエンスストアでの専売だったが、好調を受けて書店でも展開。店頭での熱烈なプッシュをきっかけに一年以上も順調に売れ続け、現在も版を重ねている。中には一店で1000冊以上を売り上げた店舗もあるというから驚きだ。

「本書には10年以上前に出した元本があるのですが、今回出し直すにあたり、著者の提案で本文をほぼ書き直し、図版もすべて新しいものに差し替えました。事実上、書き下ろしと言っても差し支えない内容です。書店さんから『こんなに売れる理工書は久しぶりだ』と言われたのですが、わかりやすさと、今の読者に身近な内容になることをとにかく意識して作り直した結果が、ヒットに結びついたように感じています」(担当編集者の坂将志さん)

 文章も図版も柔らかな印象。しかし著者は現役の大学教授ということもあって、必要な専門用語は本文にしっかり盛り込まれている。「専門書の入門書」といっても過言ではない内容だ。

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「昨今、内容の薄い教養書は立ち読みで済まされてしまうんです。わかりやすさの中に、購買意欲を誘うような、専門的で知的好奇心を刺激する要素を両立させることが、こうした本を出す上では重要だと感じています」(坂さん)

2016年6月発売。初版1万8000部。現在9刷10万部

図解 眠れなくなるほど面白い 物理の話

長澤 光晴(著)

日本文芸社
2016年6月13日 発売

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こんなに売れる理工書は久しぶり 「物理の話」はなぜヒットした?

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