文春オンライン

在留資格がない「日本育ちの子ども」が直面する“報われない現実”とは…? 「日本の入管」問題を考える

2023/05/02
note

 政府・与党は当初、日本で生まれ育ちながらも在留資格がない子どもらに在留特別許可を与える方向で検討していた。しかし立憲民主党が27日に修正案を受け入れないと決めたことを受け、白紙に戻す方針となった。

《だが、ことは子どもの生活と将来に関わる問題だ。政党間の対立を超え、政府は子どもの人権を最優先に許可を与えるべきだ。》(信濃毎日新聞4月28日)

 子どもの生活も国会対策にしてよいのだろうか?

ADVERTISEMENT

入管制度は「憲法の例外地帯」

名古屋入管での収容中に死亡したスリランカ人女性ウィシュマさん(当時33歳)の遺族 ©時事通信社

 この記事を書いた信濃毎日新聞では、2021年7月4日の紙面に載っていた『入管施設への収容 憲法の「例外地帯」にするな』という論説委員のコラムが印象深かった。そもそも入管制度とは何かが詳しく書かれていた。

 きっかけは戦後にさかのぼる。1947年5月2日、現憲法が施行される前日に「外国人登録令」(外登令)が制定された。その核心は、日本が植民地支配した朝鮮半島の出身者を「追い返すための仕組み」だった。立案したのは内務省。

《戦前の入管行政は、内務省が管轄する警察が中核を担い、特別高等警察(特高)が朝鮮人を取り締まった。治安や秩序を脅かす者として危険視するそのまなざしが、戦後の入管制度の裏側に貼りついている。》(同記事)

 日本の敗戦後に在日朝鮮人の大半は朝鮮半島に帰ったが、南北に分断された現地や朝鮮戦争の勃発でやむなく日本に戻る人が相次いだ。