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「求められた場面で、キッチリ仕事する」“私の憧れ”オリックス・比嘉幹貴投手のピッチングには人生の理想像がすべて詰まっている

文春野球コラム ペナントレース2023

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 はじめまして! オリックス・バファローズ大好き芸人、チキチキジョニー石原祐美子と申します。いつも楽しみに読ませてもらっている文春野球さんにこうして登板させてもらえて、とてもうれしいです! どうぞみなさま、よろしくお願いします。

 私のオリ姫歴は6年目、オリックス・バファローズと出会ったのは2018年の交流戦、甲子園での阪神戦が初観戦でした。

 それまで全く野球に興味がなかったし、ほとんど見たこともなかったんですが、オリックスファンの雰囲気もよくて、応援歌もかっこよくて……とにかく、めちゃくちゃ楽しかったんです。

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 その試合で特に私の目を引いたのが、中継ぎで出て来た、当時はまだ背番号43の山本由伸投手でした。

 山本投手の球の勢いが、全く野球を知らない私の目にも本当に凄くて「え、何この人……人間、ですか?」ってびっくりしてしまって。

 それまでは「ピッチャーは先発だけがすごい」ものだと思い込んでたんですけど、そうじゃないんだと一瞬で素人の私に理解させたパワーとオーラ。あの阪神戦は、私がオリックスファンになるきっかけでもあり、中継ぎピッチャーを好きになる始まりでもありました。

比嘉さんのピッチングには理想の人生像が詰まっている

 試合を見るごとに中継ぎピッチャーのことをますます「すごい仕事やなぁ」と思うようになっていき、注目して見るようになっていきました。

 その中で、私が度肝を抜かれたのが比嘉幹貴投手でした。

比嘉幹貴 ©時事通信社

 ある時、すごいピンチの状況でHi-STANDARDの「STAY GOLD」が流れて、あ! めっちゃ好きな曲! この登場曲でどんな人が出て来るんやろ?って思って見ていたらベテランのピッチャーが飄々と出てきて。

 聞くだけで飛び跳ねたくなるノリノリのパンクロックが京セラドームに鳴り響く中で「やったるで!」って感じじゃなく普通に出て来て、普通に抑えて普通に帰っていく。山本投手を初めて見た時とはまた違う種類の衝撃!

 そんな比嘉投手は見れども見れども、ノーアウト満塁とか、ワンナウト一・三塁とかピンチの場面でしか出てきません。私やったら絶対嫌やな、お断りしたいな、と思うようなシチュエーションで、普通の顔をして淡々と自分の仕事ができる……「この人、どんな気持ちでマウンドに立ってはるんやろ?」と思っているうちにどんどん比嘉さんのことが気になって、過去の投球の動画を検索したり、数少ないインタビュー映像も見られる限り全部見ました。

 ルーキー時代のインタビューでは「使っていただけるならどんな場面でもマウンドに上がりますんで、どんどん使ってもらいたいです」って仰っていて「すっげえなこの人、この時からベテランの今までぜんぜん芯がぶれてない」と驚かされ、気づけばすっかり沼の底です。

“求められた場面で、キッチリ仕事する”

 そんな比嘉さんのピッチングには、私の人生の理想像が詰まっています。

 私は芸人として、ガツガツ自分からしすぎず、人の話をしっかり聞いて自分に振られた時にはきっちり返せるようになりたい。どの仕事の時も準備をして手を抜かず、もしスベってしまっても気持ちをすぐに切り替えて、いつも笑顔でみなさんに楽しんでもらえるようにいられたらいいな、と思っています。

 野球で例えるとまさにそれは私から見た「比嘉幹貴」のスタイルそのものなのです。

 まぁ、実際の私はだいぶその理想とはかけ離れていますが(汗)。

 だからこそ憧れていて、本当は「キャー、かっこいい!!」とか球場でも黄色い声援を飛ばしたいんですが、いつも本当に息をするのもしんどいぐらい緊迫した場面でばっかり出て来られるので、ちぎれるぐらいの力でタオルをぎゅっとつかんで掲げて見るのが精一杯なのです。ほんとタオルありがたい(笑)。

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