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「罰ゲームのような環境で子どもを産んでも見合うほど得るものがない」異次元の少子化は女性たちの声なき主張

source : 提携メディア

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル, ヘルス

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底なしの少子化が問いかけること

底なしの少子化は、私たちに何を問いかけているのでしょうか?

妊娠・出産し、子を育てることが、どれだけ女性にとって負担が重いことか、どれだけ女性にとって人生上の大きな軋轢となりえるか、政治家も経済界のリーダー層も見えていなかったのではないでしょうか。それどころか「子どもを産み育てることは女性にとって幸せなことのはず」などという幻想を信じていたのではないでしょうか。

子どもを社会に出すまでに1人2000万円もかかるといわれるほど教育の責任が家庭に重くのしかかり、一方で家計を男手一人では担えないほど賃金は伸び悩んでいます。女性に共働きを求めるようになったのに、家事や育児や介護などのケア労働が女性に偏重する社会の空気はいまだ健在です。そんな罰ゲームのような環境の中で、子を持たない選択をする女性が増えるのは当然のことと言えるでしょう。

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子どもを育てにくい社会をつくっておきながら、女性たちに無理を押し付けて甘えてきたのではなかったか、国力や生産性の観点から「危機だ」という前に、今一度、女性たちの「言葉なき主張」と向き合うべき時が来ているのではないでしょうか。

妊娠・出産は女性の人生を歪める重石

たとえば妊娠・出産だけを考えても、それがどれだけ女性の人生を歪める重石になっているか。そのことに、当事者の女性以外が気づいているのでしょうか。

受精後、270日の間、自分の体の中に、もう一人の命が同居することになります。

当然、体中の生命維持システムに大変更を余儀なくされ、発熱や悪心、嘔吐(おうと)、浮腫、体重増加、腹痛など、一般の人で言うところの「病気・不調」に相当する状態が、長らく続くことになります。

その先に、陣痛がある。体は悲鳴を上げ、歯や髪にダメージが及び、膝や腰を痛めることもあるでしょう。

その間、パートナーである男性は、少なくとも体には何の変調も来しません。こうした非対称性に、まずは気づく必要があります。

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