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「私のAVのせいで、傷ついた人が存在している」粘膜が切れて出血する時も…早稲田卒の元AV女優(23)が引退後に感じた“責務”

文筆家・神野藍さん#2

2023/06/30
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 Twitterで議論を生んだあるツイート

〈女の潮吹きで出てくる液体は気持ち良いと出てくる魔法の液体だ!〉

 

〈AVに出てくる女たちはすごい量を出していて、それが証拠だ〉  

 このツイートに何十人もの男性が賛同していて唖然とした。潮吹きのシーンが必須の作品は何度か経験したが、カメラが回り始める前から利尿作用のあるお茶を大量に摂取し、保険として尿が出やすくなる漢方を適宜服用し、トイレに行く回数を減らす。

 つまり潮吹きで出てくるものは尿、または尿になる水分で、それが溜まっているところに強い刺激を与えることで半ば無理やり排泄させる仕組みだ。

 

 女性の身体はデリケートで、身体の内側にある膣はどんなプレイにも耐えうる強靭な組織ではなく、非常に繊細で傷つきやすい粘膜だ。どんなにローションを使用した撮影でも、擦れてしまうことはいくらでもあったし、最悪の場合、粘膜が切れて出血する時もあった。プロであってもそうなのに、素人が何の知識もなく無理に潮を吹かせようとすれば、そうなる危険性が高いのは明らかである。

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 そんなことを知らず、分かりやすく興奮させるための派手なプレイをリアルと受け止め、勘違いをしたまま、現実でも同じ行為をしようとする人が大勢存在している。それによって嫌な経験をした女性たちが、実体験や医学的な根拠をもとに、投稿者や賛同している男性陣に対してコメントをしていた。

 しかしながら、誰一人として聞く耳を持たず、女性に対し「あなたは本当の快楽を経験してないから、分からないんですよ」とまで反論していた。

 その状況が見るに堪えず苦言を呈すると、その女性たちの1人から「私たちが何を言っても、何の根拠もない感情論だけ語られて無視されるんです。実際に現場を経験した人にコメントしてもらえて心強いです」という旨のメッセージが飛んできた。その一方で男性陣は他の女性には反論するものの、私に対して口を開くことがなかった。

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