文春オンライン

《札幌ラブホ首狩り殺人》「頭部を切断して持ち去ったXの正体は…」亡くなった女装愛好家62歳「真夜中は別の顔」

note

 煌びやかなステージライトが乱反射する薄暗い場内。往年のディスコミュージックに合わせて踊る参加客の中に、ひと際目立つ男性Aさん(62)の姿があった。

事件はイベント会場から徒歩5分のラブホで起こる

「女装愛好家だったAさんは、上下セパレートで光沢のある銀色の衣装。ライトが光る小さなリュックを背負っていました。ピンク・レディーの『UFO』のコスプレみたいな感じ。お立ち台で踊ったり、他のお客さんたちと会話や記念撮影をしたりして、とても楽しそうでした」(参加客)

夜のススキノでは「女装家のトモちゃん」として知られていた

 7月1日土曜、北海道札幌市の歓楽街ススキノで4年ぶりに開催されたディスコイベント。終了したのは午後10時のことだ。その17時間後――。Aさんは、頭部のない全裸の遺体となって発見された。

ADVERTISEMENT

 場所は、イベント会場から徒歩5分ほどの距離にあるラブホテルの1室。2日午後3時頃、利用客がチェックアウトしないことを不審に感じた従業員が部屋を訪ね、事件は発覚する。

「洗い場で浴槽に体を向け、うずくまるように倒れていた。血は洗い流されていたが、死因は出血性ショック。体に致命傷となった刺し傷があり、頭部が切断されたのは殺害後。室内には争った形跡や血痕はなかった。そもそもベッドは使われた痕跡がなく、被害者の体に防御創もなかったことから、入室直後に入浴中、無防備なところを襲われたとみられる」(捜査関係者)

事件現場となったラブホテル ©文藝春秋

指紋や体の手術痕などから遺体の身元を特定

 前夜、1人でイベント会場を出たAさんは、午後10時35分頃、スーツケースを引く謎の人物Xと落ち合っている。立ち話をしたのち、同50分頃、このホテル2階の1室に2人で入室。Xは約3時間後、1人でホテルを立ち去った。

 現場には、遺体の身元を特定できる所持品の類が一切残されていなかった。衣類、財布、携帯電話、近くの有料駐車場に停めていた白い愛車の鍵、そして、顔の分かる頭部まで――。

「3日夜、Aさんの妻が警察に行方不明者届を提出。指紋や体の手術痕などから頭部のない遺体がAさんと特定された」(同前)

 Aさんは、札幌から約30キロ離れた恵庭市で暮らす物静かな会社員の男性だった。地元住民が明かす。

「有名な内装建材会社の工場に勤めていました。奥さんと成人した2人の子供がいます。趣味はバイクのツーリング。5年ほど前は町内会の区長さんを無難に務めてくれた。真面目で優しげな方でした」

関連記事