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「バイプレイヤーズ」Pが語る「大杉漣さんが愛された理由」

プロデューサー&監督 浅野敦也氏インタビュー

2018/03/06

 2月21日、名優・大杉漣さんが逝去された。享年67(公式ホームページより)。

 遺作となったのが、テレビ東京で放映中の『バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜』である。メインキャストは、遠藤憲一さん、大杉漣さん、田口トモロヲさん、松重豊さん、光石研さん(五十音順)。全員が本人役を演じ、好評を博した同シリーズの第2弾である(第1弾は寺島進さんも出演)。実生活でも15年以上の厚い友情関係にある仲間同士。だからこそ成し得たチャレンジングなこの作品を大杉さんは心から大切にしていた。

『バイプレイヤーズ』シリーズを企画した、ドリマックス・テレビジョンのプロデューサー&監督・浅野敦也さんが語る、大杉漣さんが愛された理由とは――。

「バイプレイヤーズ」シリーズを立ち上げた浅野プロデューサー ©佐藤亘/文藝春秋

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「19年前から全然変わっていなかった」

――大杉漣さんと初めて出会ったのはいつですか?

浅野 もう20年近く前なのですが、大杉さんが出演された2時間ドラマ「十津川警部シリーズ」の現場で、助監督としてご一緒しました。すでに有名でいらしたのですが、当時から気さくな方で、スタッフにも丁寧に接してくださった。上半身を脱ぐお芝居を照れることなく、明るくサバサバとやっていらしたのをよく覚えています。その後も何回かお会いしていますが、昨年、前作『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜』で久々にお目にかかったときも、全然変わってなかったですね。

――『バイプレイヤーズ』ではメインキャストが本人役を演じていますが、どのくらい素に近いのですか?

浅野 田口トモロヲさんは、宇宙人のような不思議なキャラクターを完全に演じていらっしゃいますが、ほかの方は素に近い……でしょうか。光石さんは少し違うかな? 大杉さんご本人は、ドラマ同様とても明るい方です。頼りなさをややカリカチュアしていますが、もともとご自分を大きく見せようとせず、失敗談を話したり、あえておどけてみせる方なので、印象はドラマに近いかもしれませんね。ドラマのなかではリーダーを演じておられますが、実際もリーダーなんです。といっても率先して皆を引っ張っていくタイプではなく、優しくて、慈しみ持っておられて、自然と皆が大杉さんのもとに集まりたくなるような感じです。

『バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜』 テレ東の朝ドラ「しまっこさん」の出演にあたり、ロケ先の無人島に到着した5人なのだが……。 ©「バイプレイヤーズ2018」製作委員会

――『バイプレイヤーズ』はドラマの最後に、メインキャストが撮影裏話などを語る「バイプレトーク」コーナーがあったり、変わった作りになっています。あの形は最初から予定されていたものではないと伺いましたが。

浅野 第1弾の6人全員が集合して撮影した初日、息も合っていましたし、明るい雰囲気だったので、安心して僕は夜10時ごろ、撮影場所の館山から東京に向かって帰ろうとしていたんです。そうしたら、アクアライン越えたあたりで、大杉さんから電話がかかり、6人で食事をしながら相談したのだけれど、明日一緒に話せないかと、とても丁寧な口調で言われました。ところが僕は翌日別件があった。すると大杉さんが「じゃあ、申し訳ないけど今から会えないかな?」と言われたので、「もちろん大丈夫です。ただ、夜中の12時ころになってしまいますが、それでもよろしいですか?」と聞いたら「大丈夫です。待ってます」とおっしゃった。そうして着いたら、ホテルのロビーに6人が真剣な面持ちで待っていらして……。

――それは緊張しますね……。